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【NPCデータ】

※名前は便宜上つけた仮の名前です。
※可能ならば「幼なじみ」設定のPCのプレイヤーに名前を決めてもらう事をお奨めします。

メイガン(若夫婦の妻)
種族:ザハール 性別:女性 年齢:23歳 髪の色:黒 瞳の色:銀灰色 
能力値【体力3】【機敏3】【感覚3】【知性4】【魅力5】
心魂値【愛4】【希望1】【勇気3】【賢明4】
技能〈語り部1〉〈古言語1〉〈説得1〉〈騎乗1〉〈動物1〉〈誘惑2〉
《背景》
 流れ者の羊飼い一家の娘として生まれる。
 流浪の日々に疲れ、安定した暮らしを求めてエイベルの求婚を受けた。
 打算から始まった結婚だが、彼女なりに夫を愛している。六ヶ月前に、エイベルが『狼』に襲われ、重傷を負った時も必死で看病した。
 一度は死んだと思った夫が起き上がり、自分を見て、名前を呼んでくれた瞬間から、彼女の秘密が始まった。表面上は「気立てのよい働き者」を演じつつ、裏では人狼屍鬼と化した夫を庇い、大荒野の開拓村を転々としている。
 PCのうち一人と過去に強い絆で結ばれていた。今、その絆を利用して彼(もしくは彼女)を味方に引き入れようとしている。
〈仮面舞踏会〉の技能判定に成功すれば、彼女が常に何かを隠しているとわかるだろう。
「何人犠牲になってもかまわない。今の安定した暮らしを守るためなら」
「ただ穏やかに、普通に暮らしたい、それだけ。何がいけないの?」

エイベル(若夫婦の夫)
種族:ザハール 性別:男性 年齢:30歳 髪の色:黒 瞳の色:琥珀色 
能力値【体力6】【機敏5】【感覚6】【知性3】【魅力4】
心魂値【愛5】【希望3】【勇気10】【賢明1】
技能〈語り部1〉〈古言語1〉〈説得1〉〈裁縫3〉(〈格闘3ないし4〉)
《背景》
 エルルタンタ出身の、腕の良い毛織物職人。羊飼い一家の娘メイガンに恋をして求婚、妻に娶る。
 真面目で朴訥な男で、一途に妻を愛していた。しかし六ヶ月前、彼の幸せは打ち砕かれた。
 山道で『二本足で歩く赤い目の狼』に襲われた。かろうじて村に帰り着いたものの、高熱を出して寝込んでしまう。メイガンの手当ての甲斐もなく、三日後、一度死ぬ。しかし日没とともに彼は再び起き上がった。
 人狼屍鬼として、新たな命を得て。
 もう、自分は以前の自分ではない。人間には戻れない。そうと知りつつ、必死で「穏やかな日々の暮らし」を守ろうとしている。妻を奪われることを何よりも恐れている。
 月齢とともに次第に凶暴化し、月齢12〜16の夜は人狼屍鬼の姿に『戻り』、殺戮に走る。
「何人だって殺す。彼女を守るためなら」
「彼女を奪う奴は許さない。彼女は誰にも渡さない」
※戦闘時のデータは、ルールブックP159およびP169の「人狼屍鬼」の項目を参照してください。
※その際、技能と心魂値に関してはこの記事の数値を適用してください。

【シナリオ6:結末】


 人狼屍鬼と化した夫を倒せば、このシナリオの目的は達成されます。
 果たしてどのような結末を迎えたことでしょう?
 
 バルナ・クロニカの恒例であるしめくくりの文章は、あえて記しません。
 あなたの物語を締めくくる言葉を導き出せるのは、あなた自身に他ならないからです。

【終わりに】
 サンプルストーリーでは、物語は悲しい結末を迎えてしまいました。
 これは一つの失敗例。決してほめられた展開ではありません。
「何で判定に失敗してしまったのか。あそこで真力を使っておけば……」
「もっと手がかりを上手く伝えていれば」
 GMとしても、PLとしても、色々と悔いの残る幕切れです。

 本記事のシナリオデータとサンプルストーリーは、あくまで材料に過ぎません。
『もっと別の選択肢があるはず』
『もっと別の道があったはずだ』
 そこから、あなたの物語は始まるのです。

次へ→【サンプル7:終幕】

【シナリオ5:人狼屍鬼との対決】


 このチャプターでは、主に戦闘用データと戦闘シーン展開の際の指針を記述します。
 PCたちが集落に来るのは、原則として『月齢11の昼』です。『月齢12の夜』が「今月の殺戮」の第一夜となります。
 それまでに「壁の中の狼」「敵は人狼屍鬼」の情報が、PCの誰かに行き渡っていることが望ましいでしょう。
 ですが、後者に関しては必ずしも満たされる条件ではありません。
 対決したときに、初めて敵の正体に気付く、と言った展開もあり得ます。

 シナリオ中で、人狼屍鬼とPCが遭遇する状況としては、大まかに分けて次のような状況が考えられます。

《Case1》
 月齢12の夜以降、夫は毎晩、人狼屍鬼の正体を現し、家畜と人の殺戮に走ります。この時、PCが外の様子に気を配っていた、もしくは「見回りに出る」等の行動をとった場合。
 ある程度『壁の中の狼』の出現を予測できるので、PCたちも前もって準備を行うことができるでしょう。

《Case2》
 夫妻の見ている前で「刻印の現出」が起きた場合。
 夫が凶暴化し、PCに襲いかかってきます。
 ただし妻の目の前で襲うよりは、PCをこっそりと尾行し、ある程度離れた場所で襲うことを選ぶでしょう。(目の前でPCを殺したら、妻に嫌われてしまうと考えるため。既に歪んだ思考ではありますが)
 この場合は不意打ちに近く、ほとんど何の対策もとれないまま(場合によっては、敵の正体すらわからないまま)、戦闘場面が展開されることでしょう。
 しかし一点だけ有利な点があります。
 もし襲撃が日中に行われた場合、太陽の光の下では[屍闇の再生]は行われないのです。

 上記はほんの一例です。こだわる必要はありません。実際のセッションの進行にあわせて、臨機応変に対応していって下さい。
 GMは自分のシナリオに合わせて、もっと別の演出を考えてもかまいません。
 むしろそうすることを推奨します。
 
《人狼屍鬼の行動》
 人狼屍鬼は、妻と親しいPCを執拗に狙います。
 手の届かない範囲にいるなら、どんな犠牲を払ってでもそこまで前進し、届く範囲にいるなら優先して狙います。
 もしそのPCが逃げ出したら何を置いても追いかけて行き、殺害しようとします。

《強さの調整》
 参加PCの強さ、人数に合わせて、敵の強さを調整してください。

■PCが強かったら……
 戦士や歌う犬や誓いし者、舞闘家、渡り蝶など、すでに称号を獲得しているPCが参加している場合。
 人狼屍鬼一体だけでは、いささか緊張感が薄くなります。
 戦闘が終わった頃には真力が0になるくらいの勢いで、敵を強化してください。
 手加減は無用です。命の危機を。屍病の感染の恐怖をPCに味わわせてください。

 以下に強化案の例を挙げます。

(1)夫の頭部に『鉄環の頭巾(装甲値2)』を装着させる。
(2)夫に〈格闘〉を3〜4LVで習得させる。
(3)もう一体人狼屍鬼を参戦させる。
 人狼屍鬼は、自分を「噛んだ」者=群のリーダーに従うと想定。
 追加分の人狼屍鬼は、前月の『狩り』の犠牲者です。集落の外で襲われたため、『壁の中の狼』の犠牲者ではなく、行方不明扱いになっています。

(4)普通の狼が複数、従っていることにしてもいい。
 狼のデータはルールブックP166の「ラットマン」を流用。ただし武器と技能は使用せず、攻撃手段は牙のみに限定。
 さらに攻撃力1D3の牙(小)から、攻撃力1D6の牙(中)にランクアップしておく。

■PCが弱かったら……
 もし、参加しているのが初期作成、ないしセッション経験の浅いPCのみだったとしたら。人狼屍鬼を相手にするのは、いささか荷が重いでしょう。
 その場合は、できるだけPCが有利になる要素を多く取り入れてください。

(1)戦闘以外に、罠を仕掛ける等のPCの提案を積極的にサポートし、直接対決に至る前に、できるだけエイベルのHPを削っておく。

(2)[屍闇の再生]による傷の再生を封じる方法がある、とPCに積極的に知らせる。
 人狼屍鬼の能力[屍闇の再生]には弱点があります。
・「火、もしくは炎で焼かれた傷」を回復することができない。
・「太陽の光のもとでは」再生能力を発揮できない。
 本来なら、PC自身が技能判定に成功しなければ得られない情報ですが、前もってNPCとの会話を通じてこれらの弱点を伝えておく事で、戦闘をPCたちに有利に展開させることができるでしょう。

(3)弱点の追加
「銀の武器で与えたダメージは再生ができない」
「銀の武器で1点でもダメージが入った場合は人狼屍鬼はただちに賢明の心魂判定を行う。成功した場合は人間としての理性が蘇るためそのラウンドは積極的に攻撃してこない」(ただしPCと明確に敵対関係にある場合はこの限りではない)
「狼男の苦手とする薬草(トリカブト:Wolf's bane)の汁を塗った武器でつけられた傷は再生できない」など、一般的な『ワーウルフ』のイメージから導き出される弱点を追加するのも一つの方法です。
 その際、「これはまだ完全に魂が屍闇に染まっていない人狼屍鬼だから通じる」手段なのだと。あくまで「今回だけ」と効果を限定しておきましょう。
 参加したPLが、他のGMのもとでプレイする際に生じるであろう混乱を未然に防ぐために。

次へ→【サンプル6:それが君の願いなら】

【シナリオ4:真相】

 
 何故、夫は人狼屍鬼になってしまったのか。
 何故、妻は夫を庇っているのか。
 2人のNPCが『そうしなければならなかった』理由と心情の動きを以下に記します。
 GMはこれらの記述を踏まえた上で『妻』と『夫』を動かしてください。
 なお、必ずしも、これらの事実はPCに対して全て明らかにされる必要はありません。
 
(1)夫は半年前に人狼屍鬼に噛まれて屍病で死に、人狼屍鬼になった。

(2)人狼屍鬼は知性ある不屍。
 普段は精一杯本性を隠して人として、以前と変わらない暮らしを続けている。
 生前の姿と意識を留めた夫を、妻は葬ることも拒絶することもできない。

(3)満月が近づくとともにに夫は人狼屍鬼の本性を現し、凶暴で荒々しい男になる。(酒場で絡んできた与太者の腕を折ったのも、そのせい)
 怒りともどかしさ、苦痛と凶暴な本性が抑えられず、目に付く生き物を食い殺さずにはいられなくなる。
 夫の凶暴化は月齢12の夜に始まり、月齢16の夜に終わる。
 その期間は夜毎に変身して家を抜け出し、殺戮に走る。最初は妻を襲いそうになり、欲望を他の獲物にぶつけるために狩りに出た。
 かくて『壁の中の狼』は出現した。

(4)夫の心情
 自分はもう人間じゃない。死んでいる。考えて、感じて動いているのに、もう自分は以前の自分じゃない。真っ当な暮らしには戻れない。それを隠すために、妻に負担をかけている。苦しめている。
 一方で、屍闇に深く染まるほどに、次第に別の感情がこみ上げるようになった。
「ちくしょう、どうして俺だけが!」
「他の奴も不幸にしてやる!」
 そして彼は殺戮を楽しむようになった。完全に心が屍闇の支配下に落ちるのも時間の問題だろう。

(5)妻の心情
 夫は妻を手にかけたくないから、外で狩りをしている。
 妻もそれを知っている。だから夫を見捨てられない。必死で庇っているが、それだけではない。
 かつて、彼女は「落ち着いた暮らしがしたい」と言う打算で求婚を受けた。安定した暮らしを維持するために夫は必要。だから彼を庇っているのだ。

 この夫婦はどちらもエゴの塊です。
 とっくの昔に失っている平穏な日々を、自分たち以外の「他人」を犠牲にして取り繕っています。
 そのことを悪いとも思っていません。
 浅ましく、情けなく、あざとい。
 けれど、とても人間くさく、ありふれた心の動きなのかも知れません。

《人妻の誘惑》
 妻は夫の秘密を守るため、自分と過去に関わりのあったPCを味方に引き入れようとします。
 かつての絆(恋心、友情、親子にも似た愛情、懐かしさ)を利用して、浅ましく媚びを売って。

■具体的には『自分と過去にかかわりのあるPC』と二人っきりの状態で〈誘惑〉の技能判定を仕掛けてきます。
「お願い、見逃して。私たち他所に行くわ。もう二度とここには戻らないから」

■妻が判定に成功したら、仕掛けられたPCに【賢明】の心魂判定を行わせてください。
 成功すれば、誘惑を振り切ることができます。ここで見逃すことはできない、と。

 仲間の中に「輪舞の絆」を結んだPCが居る場合は【賢明】の心魂判定にプラスになるように修正を加えても良いでしょう。
(例1)「あいつは必ずやってくる」を適用。成功したらその場に登場する。
(例2)セッションに参加しているPCのうち、絆4以上のPC一人につき一枚、追加でカードをオープンできるものとする。
 追加のカードは、誘惑されたPC本人、絆4以上のPCのどちらがオープンしても良い。

●刻印の現出
 上記の修正を得てもなお、心魂判定に失敗し、当事者から真力の使用の申請も無く、『完全に失敗』してしまった場合は……
 刻印が現出します。
 PCは希望の灯火{ナジャ}の使命を思い出し、誘惑を振り切ることができます。しかしその一方で、夫妻に希望の灯火{ナジャ}であると知られてしまいます。

「そう。あなたは希望の灯火{ナジャ}なのね」
「あいつは敵だ! 俺を殺しに来たんだな! 妻を奪いに来たんだな!」

 刻印の現出を目撃した場合、妻はPCたちをはっきりと敵と見なします。
 夫はますます苛立ち、怒り狂い、凶暴になります。自暴自棄になり、夜を待たずに変身して襲いかかってくるでしょう。

 妻が〈誘惑〉の技能判定に失敗した。
 またはPCが【賢明】の心魂判定に成功した。
 もしくは「あいつは必ずやってくる」に成功し、他のPCが駆けつけた場合は、刻印の現出は起こりません。
 PCは自らの意思で、あるいは仲間の助力によって誘惑を振り切り、希望の灯火{ナジャ}としての使命を果たすことができます。
 不用意に正体を知られることなく。
 
次へ→【サンプル4:うそつきは誰?】

【シナリオ3:敵は人狼屍鬼】

 
 夫の正体は、人狼屍鬼{ワーウルフ}です。
 シナリオ内でいつ判明するかは、実際のセッションの際のPLの情報収集の結果によって変化してくるでしょう。
※GMは望むのであれば夫と妻の役割を変更し、妻が人狼屍鬼と化していることにしても構いません。
※その場合は矛盾が出ない様に他の部分(凶暴化、並外れた怪力の発揮等、人狼の本性を垣間見せる描写)を適宜変更してください。

■手がかり
 GMは下記の情報を直接、または間接的に聞いたPCに〈語り部〉〈祖先の記憶〉〈不屍〉による技能判定を行わせてください。難易度は『2』です。
 成功すれば、『塀の中の狼』の正体が『人狼屍鬼{ワーウルフ}』である、とわかります。
 ルールブックP159の『人狼屍鬼』の項目を参照してPCに説明してください。

 この段階までに、『PL』が既に敵の正体を予測しているかも知れません。
 その場合は予測しているPLの『PC』が判定を行う際、ダイス1〜2個を追加する、等のプラス修正を加えても良いでしょう。
『知らないフリ』をするのは意外にこそばゆく、もどかしいものです。

(1)集落に住む年長者から『壁の中の狼』に噛まれて死んだ者の死体は焼かなければいけない、と聞かされる。
「そうしなければいけないんだ。それが決まりなんだよ」
「でないと恐ろしい事が起きる」

(2)一ヶ月前の襲撃の際、ある家の番犬が噛まれても死なずに生き残った。だが噛まれた傷が元で三日後に死んでしまった。亡骸は火葬にした。
 飼い主に聞けば、犬の症状を詳しく説明してくれます。
 ルールブックP158の屍病の項目を参照して、PCに症状を説明してください。

(3)犬を飼っていた家族は、はっきりと『壁の中の狼』の姿を見てはいない。
 だが、PCと直接話した場合は、話しているうちに『暗闇に燃える赤い目』と『狼が二本足で立って歩いていた』こと、犬の傷口からにおう『墓場の土のような』臭いを思い出す。

(4)『壁の中の狼』に襲われた家の家畜小屋には、柱や壁に爪痕が生々しく残っている。〈動物〉〈足跡探し〉の技能判定に成功したPCは、爪痕を残したのが『普通の狼ではない』と言う印象を受けます。もしかしたら、二本足で立っているのではないか、と。
 成功値が4以上の場合、はっきりと確信します。親指が、他の四本の爪痕と反対側についている。「前足で手のように物をつかんで」いるのです。

次へ→【サンプル3:そして彼は耳を塞ぐ】