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羊さんたちの遊卓

【シナリオ5:人狼屍鬼との対決】


 このチャプターでは、主に戦闘用データと戦闘シーン展開の際の指針を記述します。
 PCたちが集落に来るのは、原則として『月齢11の昼』です。『月齢12の夜』が「今月の殺戮」の第一夜となります。
 それまでに「壁の中の狼」「敵は人狼屍鬼」の情報が、PCの誰かに行き渡っていることが望ましいでしょう。
 ですが、後者に関しては必ずしも満たされる条件ではありません。
 対決したときに、初めて敵の正体に気付く、と言った展開もあり得ます。

 シナリオ中で、人狼屍鬼とPCが遭遇する状況としては、大まかに分けて次のような状況が考えられます。

《Case1》
 月齢12の夜以降、夫は毎晩、人狼屍鬼の正体を現し、家畜と人の殺戮に走ります。この時、PCが外の様子に気を配っていた、もしくは「見回りに出る」等の行動をとった場合。
 ある程度『壁の中の狼』の出現を予測できるので、PCたちも前もって準備を行うことができるでしょう。

《Case2》
 夫妻の見ている前で「刻印の現出」が起きた場合。
 夫が凶暴化し、PCに襲いかかってきます。
 ただし妻の目の前で襲うよりは、PCをこっそりと尾行し、ある程度離れた場所で襲うことを選ぶでしょう。(目の前でPCを殺したら、妻に嫌われてしまうと考えるため。既に歪んだ思考ではありますが)
 この場合は不意打ちに近く、ほとんど何の対策もとれないまま(場合によっては、敵の正体すらわからないまま)、戦闘場面が展開されることでしょう。
 しかし一点だけ有利な点があります。
 もし襲撃が日中に行われた場合、太陽の光の下では[屍闇の再生]は行われないのです。

 上記はほんの一例です。こだわる必要はありません。実際のセッションの進行にあわせて、臨機応変に対応していって下さい。
 GMは自分のシナリオに合わせて、もっと別の演出を考えてもかまいません。
 むしろそうすることを推奨します。
 
《人狼屍鬼の行動》
 人狼屍鬼は、妻と親しいPCを執拗に狙います。
 手の届かない範囲にいるなら、どんな犠牲を払ってでもそこまで前進し、届く範囲にいるなら優先して狙います。
 もしそのPCが逃げ出したら何を置いても追いかけて行き、殺害しようとします。

《強さの調整》
 参加PCの強さ、人数に合わせて、敵の強さを調整してください。

■PCが強かったら……
 戦士や歌う犬や誓いし者、舞闘家、渡り蝶など、すでに称号を獲得しているPCが参加している場合。
 人狼屍鬼一体だけでは、いささか緊張感が薄くなります。
 戦闘が終わった頃には真力が0になるくらいの勢いで、敵を強化してください。
 手加減は無用です。命の危機を。屍病の感染の恐怖をPCに味わわせてください。

 以下に強化案の例を挙げます。

(1)夫の頭部に『鉄環の頭巾(装甲値2)』を装着させる。
(2)夫に〈格闘〉を3〜4LVで習得させる。
(3)もう一体人狼屍鬼を参戦させる。
 人狼屍鬼は、自分を「噛んだ」者=群のリーダーに従うと想定。
 追加分の人狼屍鬼は、前月の『狩り』の犠牲者です。集落の外で襲われたため、『壁の中の狼』の犠牲者ではなく、行方不明扱いになっています。

(4)普通の狼が複数、従っていることにしてもいい。
 狼のデータはルールブックP166の「ラットマン」を流用。ただし武器と技能は使用せず、攻撃手段は牙のみに限定。
 さらに攻撃力1D3の牙(小)から、攻撃力1D6の牙(中)にランクアップしておく。

■PCが弱かったら……
 もし、参加しているのが初期作成、ないしセッション経験の浅いPCのみだったとしたら。人狼屍鬼を相手にするのは、いささか荷が重いでしょう。
 その場合は、できるだけPCが有利になる要素を多く取り入れてください。

(1)戦闘以外に、罠を仕掛ける等のPCの提案を積極的にサポートし、直接対決に至る前に、できるだけエイベルのHPを削っておく。

(2)[屍闇の再生]による傷の再生を封じる方法がある、とPCに積極的に知らせる。
 人狼屍鬼の能力[屍闇の再生]には弱点があります。
・「火、もしくは炎で焼かれた傷」を回復することができない。
・「太陽の光のもとでは」再生能力を発揮できない。
 本来なら、PC自身が技能判定に成功しなければ得られない情報ですが、前もってNPCとの会話を通じてこれらの弱点を伝えておく事で、戦闘をPCたちに有利に展開させることができるでしょう。

(3)弱点の追加
「銀の武器で与えたダメージは再生ができない」
「銀の武器で1点でもダメージが入った場合は人狼屍鬼はただちに賢明の心魂判定を行う。成功した場合は人間としての理性が蘇るためそのラウンドは積極的に攻撃してこない」(ただしPCと明確に敵対関係にある場合はこの限りではない)
「狼男の苦手とする薬草(トリカブト:Wolf's bane)の汁を塗った武器でつけられた傷は再生できない」など、一般的な『ワーウルフ』のイメージから導き出される弱点を追加するのも一つの方法です。
 その際、「これはまだ完全に魂が屍闇に染まっていない人狼屍鬼だから通じる」手段なのだと。あくまで「今回だけ」と効果を限定しておきましょう。
 参加したPLが、他のGMのもとでプレイする際に生じるであろう混乱を未然に防ぐために。

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