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とりねこの小枝

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2012年12月の日記

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【24-4】今何て言った?

2012/12/08 0:05 騎士と魔法使いの話十海
 
 汗でてらてら濡れそぼり、いやらしく尖った乳首を口に含み、吸ってやった。舐めてやった。
 フロウは手を口に当てて声を殺そうと必死だ。その仕草があんまり可愛いもんだから、ついしつこくしゃぶってしまう。指を舐めたのと同じくらい丁寧に。口からあふれる涎でべとべとにしてやりたくなる。

「はふっ、ふ、ん、んふぅ……」

 かすかに息が乱れてるのが聞こえる。吸ってる胸から伝わって来る。ぞわあっと皮膚の表面で細かい泡が弾けた。やや遅れて、股間が疼く。

「っはぅっ」
「んぐっ」

 押さえ込んだ腕の中で、またフロウが跳ねる。水に上げた魚みたいに。折り曲げて離した若木みたいに。

「……っだ、だから締めるなってっ」

 震える手が延びてきて、髪を撫でる。気持ちいい……。一瞬気が緩んだその隙に、口の端をつままれぐいっと引っ張られる。

「んぎゅっ」
「この、馬鹿犬がっ」
「いひゃいよ、フロウ、いひゃい」
「いつまでしつっこく人の乳吸ってやがる。ええ、お前さんも男なら、俺が今どうなってるかわかるだろうが」
「うぇ?」
「さっさと動け」

 切なげに眉を寄せ、つやつやに濡れた蜜色の瞳で上目遣いに見上げてきた。背中にフロウの足が伸ばされ、きゅっと抱え込まれる。(ほんと器用な足だな)
 頬を染め、弾む息の合間に囁かれる。

「これ以上焦らすな……おかしくなっちまう」
「う」

 その一言で、頭の中と股間が爆ぜた。

「おうっ、お前っ、真顔で、何、でっかくしてやがるっ」
「お前がそんなに可愛い顔するからだ」
「お前の目は腐ってる!」
「お前は何もわかっちゃいない。どれくらい自分が可愛いか」
「だーっ! 四十も過ぎたおっさんを可愛いとか抜かすな!」

 ああ、またいつもの問答だ。きゅっと唇を噛んで、目ぇそらしちまった。
 手の甲で頬を撫でてから、改めてフロウの脇に両手をついて支える。

「動くぞ」 
「いいぜ、好きにしろ」

 相変わらずそっぽ向いたままだ。でも咽がひくんと動いてる。
 少し緩んで皴の寄った肌が、蠢く。途端に火が着いた。夢中になって腰を振った。膝の下で、手の下で干し草がよじれてがさがさ鳴ってる。床板が派手に軋む。

「ふっ、んっ、はふっ、ふっ、は、はーっ」
「あ、あ、あっ、んふぅ、あ、やっ、あ、あんっ」

 蠢く白い咽から押し出される悲鳴が、どんどん艶めいて行く。さっきまでの憎まれ口が嘘みたいだ。
 フロウの手が干し草をかきむしる。亜麻色の髪が乱れて広がり、汗ばむ肌にまとわりつく。
 ぷるん、ぴたんっと何かが腹をたたく。当たるたびにフロウの声が高くなる。

「あ……」

 フロウの一物が張りつめていた。表面にくっきりと血管を浮かび上がらせて、濡れて火照って震えてる。

『お前さんも男なら、俺が今どうなってるかわかるだろうが』

 ああ。こう言う事だったのか。

「やっ、ダイン、何、をっ」

 片手で掴む。熱くて、ぬるぬるしていて、今にも内側からぱちんと弾けそうだ。奴の体内に埋まってる俺のと同じように。

「うぐっ、お前、また膨らんでっ、どこまででかくする気だこのエロ犬がーっ」

 答える余裕なんか、あるはずがない。
 背中、腹、肩、腕。あらゆる場所の筋肉を使い、腰を前に突き出して、後ろに引いて。
 自分の一物で、フロウの中を擦るのに夢中になる。突き上げるほどにフロウが奥へ奥へと誘うみたいに絞り上げて来るから、たまったもんじゃない。

「はー、はー、はっ、はっ、はっ、うぐ、ん、おう、いい、気持ちいいっ」
「はっ、あ、そ、そんなに、気持ち、いい、かよっ」
「いい、フロウ、フロウ、お前ん中、すげ、気持ち、いい、あふっ、おふっ、く、うーっ」

 手が勝手に動いていた。
 ぬるぬるのとろとろになったフロウをしごいていた。ぴちゅ、ぷちゅっと生々しい水音が響く。
 日の光を吸った干し草の匂いに混じり、生臭い雄のにおいが漂う。建物の中にいるのに、草原で交わってるような錯覚にとらわれる。

「あ、お、おお、も、出る、出る、出るっ」
「んふっ、いいぜ」

 汗ばんだ顔で、乱れ切った髪の間から甘ったるい声がする。少しかすれて、時々、途切れながら。

「出せ、よ。俺の……中、に!」
「っ、フロウっーーーっ!」

 狂ったようにフロウをしごきながら、腰を振ってた。交尾する犬みたいに。互いの体がぶつかり、ばちん、ぶちゅんっと派手な音が腰骨に響く。その刺激でさらに血が沸騰し、足の間に流れ込む。今にも破裂しそうだ。
 みっともないとか、恥ずかしいとか。今が真っ昼間だなんてこともきれいさっぱり頭ん中から吹っ飛ぶ。

「おうっ!」
「んぐぅっ」

 自分の意志とは無関係。体が勝手にがくがく揺れる。その癖、フロウをしごく手の速度は全然落ちない。
 どっぷんっと込み上げるどでかい波に乗り上げて、天井高く持ち上げられる。てっぺんで奴の名前を叫んだ。
 自分の口で。同時に、フロウの中の『俺』も叫んでいた。声の代わりに熱い、どろどろした粘つく精を吐き出して。

「……フロウっ!」
「おふっ、ダインっ、奥、奥に当たって、あ、ひ、いいっ!」

 同時に手の中のペニスが弾ける。ぐしゅ、じゅぶっと粘つく熱い飛沫が飛んだ。滴り落ちる汗とも、唾液とも涙とも違う。男が快楽のまっただ中で放つ、煮え滾った欲情と本能の凝った肉汁。外側にも内側にもあふれてる。飛び散ってる。

「あー……」

 お前も今、イったんだな。
 顔と体からいっぺんに力が抜ける。そろっと手を離して顔の前にかざした。

「すげ……どろどろだぁ」
「っかやろっ、わざわざ確認するなっ」
「んぷ」
「舐めるなぁっ」
「……何で? お前いつも、俺の舐めてるじゃないか」
「うー、うー、うーっ」

 真っ赤になって目を閉じてる。
 ほんと、可愛いよ、お前って。

「あー、なんか、すっげえだるい……」

 フロウを抱えたまま、ごろっと横になる。

「……あれ。左腕、しびれてる?」
「そりゃそうだろ。腕一本でずっと自分の体支えてたんだからな」
「そうだっけ?」
「無意識かよ、っかーっ、この馬鹿力め!」
「馬鹿、馬鹿言うな」
「るっせぇ」

 干し草をつかんで人の顔に投げつけてきた。

「うぶっ、何すんだよ」

 ぐいと頭の後ろに手が当てられ、引き寄せられる。
 ぬるぬるした唇が耳たぶをくわえる。首をすくめた所に、囁かれた。

「………」
「え?」

 聞き取れなかった。多分、祈念語だ。神官が祈りを捧げ、術を行使する時に使う言葉。基礎は教え込まれたが、こんな風に込み入った言い回しをさらっと囁かれると……。
(くそ、もうちょっと真面目に勉強しときゃよかった)

「今、何つったんだよ」
「秘密」
「わからないと思って、好き勝手言ってるだろ」
「さぁて、何のことかなぁ」
「すっとぼけやがって、このエロ中年」
「うるさいエロ犬」
「……見てろ」
「っ!」

 親指でつー……と唇をなぞる。フロウは小刻みにふるふると体を震わせ、目を伏せた。

「この唇、この咽の言う事、全部聞き取ってやらあ」
「ははっ、せいぜいがんばれ」

 笑う咽元に唇を這わせる。緩んだ肌をなぞり、流れ落ちる汗の珠を舌先で拾う。
 
「っつ……跡……つけんなよ」
「わかってる」

 しばらくの間、フロウは俺のしたいようにさせてくれた。
 ごほうびのつもりか。
 だったらありがたく堪能させてもらおう。思う存分喉をなめ回し、ゆるいキスを繰り返す。そのまま鎖骨までなめおろして、くぼみに顔をすり付ける。

「こら、いつまでやってる」

 耳を引っ張られた。時間切れってことらしい。渋々体を離した。
 出すものを出し切って、ようやく元の大きさに戻り始めた一物を引き抜く。余計な刺激を与えないように、ゆっくりと。それでもずるりっと抜け出した瞬間、フロウは目を閉じて小さく震えた。

「どうした、大丈夫か?」
「ん、ああ……」

 瞼が細く開く。口元がゆるんで、微かに笑ってる。と思ったらいきなりへばーっとため息つきやがったよこのおっさんは!

「あー、だりぃ」
「はいはい。好きなだけよりかかってろ」
「んじゃま、遠慮なく」

 気だるげな口調でだらーんと手足の力を抜いて、もたれかかって来る。
 腕の中に収まる、わがままで、気まぐれで、熱くて、いいにおいのする生き物。そいつの言う事に俺は逆らえない。心底惚れてるから。夢中だから。

    ※

 フロウは秘かに安堵していた。唇からこぼれ落ちる寸前、とっさに言葉を祈念語に置き換えた。案の定、ダインは理解できなかった。

 それでいい。まちがってもこいつに聞かせられるもんか。
『俺の可愛い騎士さま』なんて、絶対に。

 寄り添い、抱き合ったままゆらゆらと漂った。湯上がりにも似た心地よい気だるさの中を。
 髪を撫でたり、撫でられたり。首筋や頬に軽く柔らかなキスを滑らせたり。ゆるやかな愛撫の合間に下の物音が耳に入って来た。荒い鼻息、踏み鳴らす蹄。時折漏れ聞こえる短いいななき。
 
「なあ、ダイン」
「ん?」
「黒の奴、妙に荒れてないか?」
「んー……」

 答えが返ってくる前にまず、唇をついばまれる。汗ばむ額と額がこつりと触れ合った。

「ほっとけ」

(干し草遊び/了)

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【24-3】説明不要

2012/12/08 0:04 騎士と魔法使いの話十海
 
 やっとお許しが出た。
 喜び勇んで覆いかぶさろうとすると、途中で肩をつかまれた。またお預けか? いや、違う。逆にぐいっと引き寄せられた。

「んぅっ?」

 不意打ちだ。まったくの予想外のタイミングで唇を奪われていた。歯こそ立てちゃいないが、噛みつくように重ねられ、問答無用で舌を突っ込まれた。

「うぐっ」

 容赦なく奥まで入り込む肉厚の舌が、口の中を好き勝手になめ回す。
(やったな!)
 負けじと吸い返す。もう、絡めるなんて生易しいもんじゃない。上になり下になり、横に滑って暴れ回る。ぴったり重ねた二人分の口の中、取っ組み合う。隙を狙って飛びかかる、ねじ伏せる、押さえ込む。
 キスするってことは味わうってことだ。味覚の伝えてくれる事は多い。
 どれだけ欲情してるか。俺がフロウに。フロウが俺に夢中になってるか。むさぼりたいのか。
 混じり合う唾液と、なめ回す舌に伝わってくる。
 発情する時ってのは単に股間のナニが立つだけじゃない。頭のてっぺんから腑の中まで「やりたい」気持ちで埋め尽くされて、収まり切れずに滲み出す。汗とか唾液とか、その他の体液や匂いになって。

「俺の足舐めてこんなに盛りやがって」
「そっちこそ俺が舐めてんのをオカズにしてたろ」
「おう、したともさ。お前さんが犬みたいにべろべろ舐めてるとこをじっくりとな」
「う」
「お」

 一度立っちまうと、股間の一物って奴は情けないくらいに欲情に直結してる。根元から込み上げたものの勢いでぴくっと、そこだけ別の生き物みたいに震えちまう。

「おいおい。犬、犬、言われてそんなに嬉しいのかよ」
「嬉しい」
「どM」
「そんなんじゃない。単純に、好きだから」
「ほぉう?」
「犬が」
「……」

 眉を寄せるとフロウは口をヘの字に結び、おもむろに俺の鼻をつまんだ。

「んぐっ?」

 ひるんだ所を膝で腹をまさぐられた。当然、股間も。

「う、やめろって、やばい、やばいからっ」
「ちったぁ空気読め、アホわんこ」
「何でそうなるっ」
「そこは嘘でも『お前が』ぐらい、言えっつの」
「わけわかんねーしっ」
「ほれ、とっとと入れないと足でしごいちまうぞ」

 実際、こいつの足は妙に器用だ。前に一発抜かれた事もある。うかうかしてたらまたやり兼ねない。

「お前、ずるいぞ! 自分から誘っておいて、さっきっから邪魔ばっかしてるじゃねぇか!」
「はっ、この程度で怖じ気づくお前さんがへたれなんだよ」

 片方の眉を上げて、口の端っこ斜めに釣り上げて。白い歯まで見せて、最高にいやらしい顔で笑ってる。得意げで、尊大で、いまいましい。図々しい。馬鹿にされてる。からかわれてる。悔しい。
 だが、そんな顔で見られてこっちは萎えるどころか余計に奮い立つ。

「問答無用で押しのけて、ずぶっと一発やりゃいいじゃねえかよ」

 調子に乗りやがって、屈辱もいいとこだ! ぎしっと奥歯を噛みしめる。
 できないって、わかってて挑発してる。
 俺がこいつに逆らえる訳がない。無体にねじ伏せてるように見えても、それはあくまでフロウの許可があるからできる事。最終的な主導権はこいつが握ってるんだ。いつだって。

「おら、腰が引けてんぞぉ、騎士さまよお。よもや、やり方を忘れちまった訳じゃねぇだろ?」

 ああ。
 どんだけ人をそそのかせば気が済むのかこのおっさんは! すぐにでも飛びかかりたい。だがここでほいほい誘いに乗るのも何だかシャクに障る。猛り狂う本能となけなしの意地の板挟みになって、馬鹿みたいに仏頂面晒しながら立ちすくむ。
 今の状況そのものが、どうしようもなく……馬鹿だ。

「しょうがねぇなあ」

 へっとため息とも苦笑いともつかぬ息を吐くと、忌忌しくも可愛いクソ親父は手を離し、とんっと足で俺を押しのけた。

「うぉっとお?」

 不意を打たれて後ろによろめき、干し草の上に仰向けにひっくり返る。
 のしかかって来る気か? また、あん時みたく上から乗る気か。身構えていると(いや、ひょっとしたら期待してるのか)。

「ああ、すっかりぬるぬるになっちまったなぁ……」

 自分の右手を顔の前に掲げてしみじみ見てる。ああ、くそ、何でお前、そんなに悠々と構えてられるんだよ。せっぱ詰まってんのは俺だけか?

「ったりめぇだ、さっき、自分のをさんざんいじくってだろーが。ええ、このエロ親父!」

 くいっと奴の口の端が上がる。

「そのエロ親父に惚れてんのは誰だ。ええ?」
「……」
「答えろ、ダイン。エロ親父が股間いじくってんの見て、てめぇの肉棒ギンギンにおったてててるのはどこの騎士サマだ、あぁん?」

 蜂蜜色の瞳がじっと見つめてる。俺の顔から咽、胸板、腹と滑り降りて、足の間で止まる。
 つられてつい自分でも見てしまう。
 体は正直だ。腹につきそうなくらいにそっくり返って先端からもう、滲んでる。
 生の魚介類を思わせるにおいがツンと鼻を突く。これは俺のだけじゃない。フロウのも混じってる。
 二人分の愛欲の匂いが、干し草に混じって香る。
 せっぱ詰まってるのは、俺だけじゃない。

「……………俺だよ」

 フロウが笑ってる。くつくつと咽を鳴らして、濡れて光る指を広げて俺に見せつける。
 ゆっくりと自分から足を曲げて、太ももを抱えて。金魚の口みたいにぱくぱく言ってる後ろの口に、右手の人さし指と中指をあてがって……開いた。

「そら、ここだよ。ここにお前さんのガチガチに固くなった棒を突っ込むんだ。わかってるだろ?」

 舌を出して自分の口の周りを舐めてる。

「したいんだろ?」

 魔法にでもかかったみたいにうなずいていた。
 むくりと起き上がって、開かれた足の間に入り込む。むっちりした質感と共に肌が吸い付く。生きた体。熱い体。発情しきった体。
 ぬるぬるになった先端を、フロウの後ろにあてがうと、指ではさまれた。思わず声が漏れる。

「いい子だ、ダイン。いい子だ」

 ぶるっと体が震えた。
 触り心地のいい足を抱えてじりじりと押し込む。フロウが咽をそらせて喘ぐ。

「ああ……いい、ね……どう、よ、俺の『そこ』は?」 
「熱い」
「そんだけか?」
「熱くて、柔らかくて、でもぎちぎち絞めてる」
「痛いか?」
「いや……気持ち……い、いっ」

 じわじわ広がった入り口が亀頭を飲み込んで行く。ひだが伸び切って、薄くなって、目一杯広がってるのが分かる。
 息苦しいのか、フロウが口を開いて、は、はっと息を荒くした。

「そう、だ、それで、いい……んっ、く、はぁっ……」
「フロウ」
「ん、あ、う、んっ!」

 俺が力を入れるタイミングと、フロウが喘ぐのとが一緒だった。
 とどめの長い一押し。ずるっと締めつけのきつい肉の輪をくぐり抜け、内側に入る。

「おぅっ」
「しまりのねぇ顔しやがって。そんなに気持ちいいか?」
「ああ……。いい。こすれる感じが、すげ、いい」
「そうかよ、っくっ」
「あぐ、う、また、締まってっ……っ!」
「締めてんだよ」

 竿の真ん中あたりがぎゅっと締め上げられる。漏れそうになった声をかみ殺した。

「お前こそ、蕩けそうな顔してるじゃねーか。そんなに、気持ちいいのか?」
「ああ、気持ちいい、ね……ん、はあっ」

 悩ましげな音と共に生あったかい息が顔に吹きつけられる。

「お前さんの、でっかいナニがケツん中こじ開けて、ずるずる中に入って来るのがよぉ。気持ちよくって……うぅ、たまんねぇや……」
「いちいち説明すんなっ」
「ひっ!」

 照れ臭いやら決まりが悪いやらで、じっとしていられない。動かずにいられない。一気に根元まで押し込んで、弾みをつけて出し入れした。

「うぐっ、ん、ふっ、あふっ」
「はあっ、はっ、はっ、ふっ、くっ」

 言葉を交わすことも惜しんでひたすら貪った。フロウを味わった。でも段々それだけじゃ物足りなくなって来た。

「……」

 上体を倒し、屈みこむ。勢い腰が前に出て、ペニスがさらに奥までねじ込まれる。フロウが目を見開き、背中を反らせて、跳ねた。

「っはうっ!」
「動くなよ」

 体重をかけてのしかかり、手を伸ばして掴んだ。汗ばみ薄紅色に染まった、奴の胸を。

「っ、どこ、触ってやがる!」
「乳」
「あぁ? ふざけるな、男に乳があるかっ」
「ある。ここに」

 手のひらいっぱいにむちっと張りつめた肉を掴み、揉む。手のひらにこりこりと尖った乳首が当たってる。

「はぁううっ、や、やめろってっ!」
「嘘だ。お前の後ろ、きゅんって締まったぞ、今」

 唇を噛みしめて、うるんだ目でにらみ付けて来た。

「気持ちいいってことだろ?」
「はっ、馬鹿言うな……っ!」

 さらに念入りに揉みしだく。しっとり濡れた肌が手のひらに吸い付いて、触れば触るほど、もっと欲しくなる。
 震える胸に顔をすりよせる。

「あ……いい感じだ」
「馬鹿か、お前は」
「馬鹿だよ」
「あ、こらダイン!」
「お前のためなら、いくらでも馬鹿になる」

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【24-2】どこを舐めろと

2012/12/08 0:03 騎士と魔法使いの話十海
 
 足が。ねっとりと甘ったるいにおいをまとわりつかせた足が、びったんっと顔面に乗っかってる。
 足で、止められた。勢い付けてのしかかろうとしてたもんだから、自分から蹴られに行ったようなもんだ。衝撃が頭の後ろに突き抜ける。顔に当たってる足の裏は柔らかいのに、触れ合う場所はけっこう痛い。

「うー……」
「がっつくなよ、騎士サマ」

 ぐいっと顔から足をどける。

「ってお前、そりゃないだろ! 待たせるなとか言っといて」
「はぁて、そんな事、言ったかなぁ」

 そらっとぼけやがってこの中年。ぐい、と詰め寄ろうとしたら、また足で押さえられる。

「ンだよ」

 へちょっと足の裏が顔面に張り付いた。今度は痛くない。ただ柔らかさと何とも艶めかしい匂いだけがまとわりつく。
 汗かいて蒸れた足の匂いなんて、自分のは嗅ぎたくもない。考えただけでげんなりする。だけど、こいつの匂いは別だ。確かにきつい。だが鼻腔から咽へと抜けた途端、また欲しくなって、吸い込む。
 その状態が延々と続くのだ。
 吸った匂いはじわじわと滴り、体のど真ん中で燃える炎を煽り立てる。

「舐めろ」
「ふぇ?」

 とっさに奴の言う事が理解できなかった。舐めろって、どこを。何を?

「舐めろよ、ダイン」

 もに……と顔に張り付いた指が動く。ようやく得心が行った。

「足を?」
「そ、足」
「何で」
「お前は俺の何だ、ダイン?」

 ついっと顎を反らしてこっちを見てる。目を細めて、口元にゆるい笑みまで浮かべて。どんな答えを期待してるのか、すぐに分かった。
(この野郎!)
 口をヘの字に結び、歯を食いしばる。そう簡単に思い通りになると思うなよ!

「答えろ。お前は、俺の……何だ?」

 赤い舌が唇をなぞる。フロウはわざと片足を曲げ、太ももに手を当てた。そのまま腹に向って引き寄せる。
 濡れて震える奴の『息子』と、その下にぶら下がる袋、さらに奥に隠れていた肉厚の入り口を見せつける。既に俺が上がって来るまでに自分で弄ってたんだろうか。赤く充血して、息でもするみたいに開いたり、すぼまったりしてる。

「犬だよ」

 咽元までせり上がった熱い塊が、言葉になって零れ出す。求められた答えの形に連なって。

「お前の、犬だ」

 くっ、くっとフロウが咽を鳴らした。

「それでいい。舐めろよ、ダイン。一本一本丁寧に……な」

 口の中いっぱいに溢れた生臭い唾液を飲み下す。自分の咽が上下するのがはっきりと分かる。咽の中をしたたるぬるっとした感触と、向けられたフロウの目の動きで。
 だんっと床板に膝をつき、背中を屈める。しっとりと汗ばむ足を両手で抱えて、迷わずつま先をほお張った。

「……おう……」

 フロウが目を細め、ぴくりと肩を震わせる。舐めさせるってことは、この行為が気に入ってるって事……つまり好きだって事だ。
 だったら、ためらう理由はどこにもない。

「んふ、んー、ん、んんん……」

 口に含んだ指を一本一本、舌でなぞって数え上げる。中指を舐めたら、きゅっと握ってきた。吸ったり、離したりを繰り返し、満遍なく唾液でべっとり濡らしてから一度口から引き抜いた。唾液が滴り、ぽとりと干し草に落ちる。

「おいおい。まだいいって言ってないぞ?」
「……わかってる」

 改めて小指を口に入れた。

「ふっ、くっ」

 咽、反らせてる。感じてるんだな、フロウ。
 広げた舌で包み込み、根元から先端にかけて舐め上げる。奴の股間でぷるぷる震えてるモノを舐める時と同じ要領で。唇で挟んで抜き差しし、薬指との間を広げた舌先で突き回す。

「おぅっ、ふっ、い、いいね。慣れてるじゃないか」
「馬鹿言え」
 
 ムキになって言い返したら、ぽとっとまた涎が垂れた。慌てて手の甲で拭う。

「お前以外にこんな事する奴なんか、いない!」
「わーってるよ。ほら、続けろ、騎士サマ」

 余裕たっぷりな喋り方だ。でも息が荒くなってる。肌にさす赤みが濃くなってる……素っ裸だからよく分かる。口の中にどっとまた涎が溢れる。慌ててすすると、妙に粘つく音が聞こえた。
 早く入れたい。抱きつきたい。だけどフロウがいいって言うまで、できない。
 だったら、触るのを許されてる部分をしやぶりつくすしかない。
 力いっぱい薬指をしゃぶった。舐めた。吸った。頭の中で自分が馬鹿みたいに鼻を鳴らす音が反響する。口ん中で粘つく水が動いてる。鼻息が荒い。舌の上で指がぴくぴくと震えてる。そんなに気持ちいいのか。

「うっ、んっ、んんっ、ふ、っくぅ、はぁ……」

 やけに声が生々しいなと思って顔をあげて、硬直した。こいつ、自分で自分のモノ擦ってやがる! 指をしゃぶる俺の姿を見て、興奮してるって事か。オカズにしてるって事か。
 かあああっと顔の表面が熱くなる。

「何……見てんだよ……」

 ぷいっと顔を横に向けちまった。視線だけこっちに向けて、睨め付けてくる。

「ほら、口が止まってるぞ、ダイン?」
「う……うん」

 慌てて中指をぱくりとくわえ、今度はさっきよりゆっくりと出し入れしてみる。

「ふ……っはぁ……いい、顔しやがって。可愛い奴」

 フロウの手が動く。まちがいない、こいつ俺が舐めるのに合わせて手、動かしてるんだ! 気付いた瞬間、股間と心臓がほぼ同時に脈打った。皮膚だの骨だの肉なんか、あっさり突き破りそうなくらいに強く。

「うぐ、うー、うー、っんぐ、ふ、くぅ」

 俺がしゃぶれば、フロウの手もそれだけ早くなる。舐めてるのが足の指なのか。それとも股間のアレなのか。
 嫌でも動きが早くなる。ちゅくっ、ちゅくっと音を立てて吸い上げる。甘ったるい足の匂いが一段と強く口と鼻の中に広がる。

「ははっ、そうだよ、もっとしゃぶれよ。舐めろよ……っはぁ……っ、そんなに……俺の指……美味いか……?」

 くらくらするほど刺激が強い。やばい、やばい、やばい。はぁはぁ言いながら自分のナニをしごいてるフロウから目が離せない。
 思わず力いっぱいぢゅーっと吸い上げると、フロウはぴんっと全身を突っ張らせてぴくぴく震えた。

「ふ……はうっ、ダ、イ、ン……」

 目を閉じて眉根を寄せて、自分のをぎちっと握ったまま、小刻みに震えてる。

「んんっ……はぁ……はぁ、はぁ、はぁ……」

 肩をすくめ、硬直したな、と思ったら少しずつ力が抜けた。荒い呼吸を繰り返してる。
 イったのか? その割には、何も出てない。
 首を傾げたまま、ちゅっちゅっちゅっと小刻みに指を吸ってると……。
 うっすらと瞼が開いて、瞳孔の広がった蜜色の瞳が見つめて来た。すっかり潤んで、つやつやしてる。舐めたいくらいにきれいだ。
 唇が動く。

『……来いよ』

 確かにそう言った。にゅるんと口から指を引き抜き、改めて口づける。

「ふっ」

 また、振動が伝わって来た。
 ぶるっと首を左右に振ると、フロウはすっかり桜色に色づいた顔を歪めて言った。

「いつまで舐めてんだよ。待たせるな。さっさと、来い!」

 ああ、その一言が、聞きたかったんだ。

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【24-1】奴が見てる

2012/12/08 0:02 騎士と魔法使いの話十海
 
「なあ、フロウ。どうしてもここでやるのか?」
「ああ」

 ベルトを外す手を止めてフロウが振り返る。

「何か問題あるか?」
「大有りだ」

 場所は馬小屋の中。裏庭の薬草畑で草むしりの最中、汗ばんだ体にムラっと来て抱き寄せて、上半身脱がせてがっぷり唇を貪った。結果、引っ張り込まれたのがここなんだが……。

「まさかお前さん、庭であのまんまおっぱじめるつもりだった訳?」
「え、いや、そう言う訳じゃ」

 上半身裸で(さっき俺が脱がせたから当たり前だ)、湯上がりみたいに上気して汗ばんだ肌を惜しげも無くさらし、ベルトも外してズボンの前は開けたまま。とんでもなくしどけない格好で、隠しもせずにこっちを見てる。
 いや、睨んでる。眉をしかめて、その割には楽しそうに唇をついっと突き出して。見てるだけで肌がむず痒くなり、今にも飛びかかりたくなるのを必死でこらえていると。

「真っ昼間に、誰にのぞかれるかわかりゃしないような状況で一発やらかそうってか。ええ、この変態め」

 足音もなく近づいて、指先で顎をつままれる。そのままくいっと持ち上げて、咽から顎の縁にかけての鋭敏な部分を指で弄ばれる。くすぐったい。
 軽く抑えられてるだけだ。簡単に振り払える、だけど動けない。もっと弄って欲しいって、腹の奥で思ってるからだ。フロウの指先を、この皮膚が。肉が欲しがってるからだ。

「いけないわんこだ」

 蜂蜜色の瞳が細められる。下がり気味の目尻に皴が寄る。
 ええい、楽しそうじゃねえかこの中年は! 何か言い返してやりたい。でも頭ん中が火にかけたビールみたいにぶわーっと煮えくり返って泡立って、気の利いた言葉なんざとてもじゃないが出てこない。

「そうじゃない……」

 かすれた声で言うのがやっと。だがすぐさま畳みかけるように問い返される。

「じゃあ、どうなんだ? 説明してみろよ」
「う、ぐ、あ、それは……」

 親指がつすーっと唇をなぞる。触れられた場所から稲妻が走り、全身が凄まじい早さで小刻みに震えた。寒くなんかないのに。むしろ熱くてたまらないはずなのに。体の外側よりむしろ、内側から込み上げる熱気のせいで。

 ぶふーっ、ぶるるるっ。

 馬房の中で景気良く鼻を鳴らした奴がいる。
 黒だ。小屋中に響き渡りそうな重低音でいななきながら歩き回ってる。野郎、明らかに妬いてやがる。こっち睨んで耳伏せてるし!

「どーした、黒ぉ」

 のほほんとした声でフロウが呼びかける。途端に黒はぴっと耳を前に向け、体を低くして鼻面を突き出した。
 すーっと俺から離れるとフロウは黒に近づいて、長い鼻面を撫でた。

「んー、何だよ甘えやがって可愛い奴」

 黒は目を細めて小さく鼻を鳴らし、口元をすり寄せた。どこにってフロウの首筋にだ! ふっ、ふっと短く息吹いてやがる。

「ははっ、くすぐってぇなあ」

 嬉しそうに撫で回してるんじゃねぇよお前も!
 づかづかと近づいて、ぐいっとフロウの肩に手を置き、引き寄せる。

「うぉっとぉ?」

 びっくりしたんだろうな。腕の中で目ぇ見開いてこっち見上げてやがる。

「いきなり何だよ!」
「落ち着かねぇんだよ」
「は?」

 ぶふーっとなまあったかい風が吹きつける。黒が首を伸ばしてこっちを睨んでた。

「……こいつが見てるから!」
「こいつがって、お前さん、黒が気になるのか? 馬が見てるから、恥ずかしくてできないってか?」

 にんまりと、無精ヒゲに縁取られた唇が緩む。

「案外、可愛いとこあるなあ、ええ?」

 言いながら股間をまさぐるのは何故だ。

「うひっ、どこ触ってやがるっ」
「んん、その割にはやる気満々か」
「ったりめーだっ。とにかく来いっ」

 フロウの手をとってだかだかと馬小屋を横切り、二階に続く梯子段まで引っ張って行く。振動が股間に響くが無視だ、無視!

「何ンだよ。上でやろうってか?」
「ああ。上でなら、いい」
「ふーん」

 ちらっとフロウは横目で馬房を見遣る。黒はぶっふぶっふと鼻息荒くこっちをにらんで、しきりと体を揺すってる。さすがに落ち着かない様子なのがわかったらしい。
 小さく肩をすくめた。

「ま、いいだろ。来いよ」

 言うなりさっさと梯子段を登って行った。目の前にばーんっとむっちりした形のいい尻が広がる。思わず食い入るように見つめているうちに通り過ぎてしまった。
 空振りした手が妙に寂しい。腹立ち紛れにぶんと降って腕組みし、黒を睨んだ。耳伏せてにらみ返して来る。

「いいか。貴様は確かに優秀な馬だ。だが主人は俺だ。忘れるな」

 低い声で言い聞かせる。一分。二分。一言も発しないままにらみ合う。
 ぶふーっと長い長い息を吐くと、黒はついっと目を逸らした。
 ……よし。
 うかうかするとあいつ、すぐにつけ上がるからな。躾けだ、躾け。決して同じレベルで焼きもち妬いてるんじゃないぞ。絶対に!
 ふんっと鼻息を吐いて踵を返し、梯子段を上がった。

     ※

 狭い、角度の急な簡素な階段を上がって二階に移動する。人目を避けて潜り込むにはうってつけの場所だ。
 壁際に窓が一つあるだけで、天井は屋根の勾配がそのまま剥き出しになっている。部屋の半分ほどは干し草で覆われ、予備の馬具や、普段はあまり使わない類いの物が置かれている。床板はしっかりした作りで、その気になればここで寝起きする事だってできる。
 上がり口の床の上に、ズボンと靴が転がっていた。
 視線を上げると、フロウが干し草の山にどっかりと腰を降ろしていた。身に着けてるのは左手首の腕輪だけ。それ以外は生まれたまま……。
 裸だ。
 思わず目をむき、息を飲んだ。

「遅ぇぞ、ダイン。あんまし待たせんなよ」

 そろっと足を開く。薄暗い部屋の中、白く浮かぶ肢体が開き、隠された物が露になる。既に堅く張りつめて、立ち上がった股間の一物。奴が欲情している証だ。
 目で見て、湿っぽい匂いを嗅いだ瞬間、頭ん中が真っ白に焼き付いた。汗で張り付くシャツを無理やりひっぺがし、ボタンを外して脱ぎ捨てる。焦る指先が滑り、ベルトの金具がなかなか外せない。

「うー……」
「どうした? えらく手間取ってるじゃないか」

 フロウがじっとこっちを見てる。楽しそうだ。ちろっと舌を出して唇まで舐めてる。

「もったいぶるなよ。早く脱げ」
「わーってらぁっ」

 やっと、ベルトが外れる。歩きながら勢い良くずりおろす。ズボンが足に絡んで危うく転びそうになる。
 ひゅうっと軽く口笛を吹くのが聞こえた。ちくしょう、俺がおたおたするのを見るのがそんなに楽しいか!
 どうにかズボンの呪縛から逃れると、慌ただしく下着の紐を緩める。片足でと、と、と……と飛び跳ねる間にずり下げて、足から引っこ抜く。

「お、お、おーっと危ない」
「フロウ!」

 がばっと覆いかぶさり、むしゃぶりつこうとしたが、途中でがくっと止められた。

「うぐっ?」

次へ→【24-2】どこを舐めろと
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【24】干し草遊び★★★

2012/12/08 0:00 騎士と魔法使いの話十海
  • 【おまけ2】薬草畑でそそられて★の続き。
  • おかげさまで電子書籍版「とりねこ」、地味にじわじわ売れております読者の皆様に感謝を込めて、ダイン×フロウのいちゃラブな甘いお話を! と思ったのですが。
  • 書き上げてみたらすっかりエロ尽くしになってしまいました。可愛くも意地悪なおいちゃんに翻弄されつつ、わんこが頑張ってます。
 
  • そんな訳で★三つ、全編男同士のベッドシーンです。苦手な方は閲覧をお控えください。
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