▼ 6.待たせるな!
2011/11/23 2:09 【騎士と魔法使いの話】
開かれた足の間に熱い体がもぐりこむ。がっちりした丈夫な骨組みの上に、ばいーんっと張り詰めた筋肉の乗っかった体が。はあっ、はあっと息を吐き、足の間のペニスはいじらしいくらいに張り詰めて。てらてら光る先っちょからは、もう先走りがにじみ出ている。
「フロウ……」
押し殺した声で名前を呼ぶ。それがこいつなりの合図だ。
これから入れる、と。
「さっさと……や、れ! これ以上、待たせんな」
うなずいて、入ってきた。ずぶずぶと、堅く尖った亀頭の先端がアヌスに潜り込み、肉ひだを一枚一枚かきわけながら、進む。目一杯広げられた入り口が、破れそうだ。ぐっとダインが腰を進めた。その瞬間、ずるりと肉の輪を突き抜け、体内へ。
よし、一番ぶっとい部分は通った。だからって少しは余裕ができたかと言えばそんなはずもない。
広がった入り口がきゅっとつぼまり、竿を締めつける。
「は……はぁ……は……あ……」
一向に終わる気配のない圧迫感を紛らわそうと、口を開けて喘いでいると。
「……この辺りだったかな」
つぶやいたと思ったら、くいっと短く腰を振った。
「あひっ!」
イイ所を狙い撃ちされ、目の縁にちょろりと涙がにじむ。予想外のタイミングで鳴かされた。にらみつけようとしたが。
「はっ、あ、あっ」
「う、あ」
いきなり弾みをつけて奥まで来やがった。手加減無しだ。ずしんっと振動が走る。せり上がる腑に圧迫されて咽奥まで押し上げられそうな勢いだ。
「あ、ぐ、あっ」
「すまん、ずっとガマンしてたからっ……あぁ……」
涙でにじんだ視界にダインの顔が広がる。額に汗浮かべて、気持ち良さそうな顔しやがって。
どんだけ無防備なのか、お前は。
「そんなに、俺と、やりたかったのか?」
「うん。すごく」
「は、はは、しょうがねえ騎士さまだっ」
「う……」
何か、妙なスイッチが入ったらしい。力いっぱいゆすりあげられ、どすん、と落ちる。体重がかかってダインのペニスが奥にぶち当たり、衝撃が腰骨まで響く。
いっぺんに体内の息が全部、押し出されちまった。
「か、はっ」
そらせた咽に奴の唇がすいつき、舐められ、噛まれ、また悶える。
「あっ、あっ、ダインっ、やっ、あっ」
浴室に声が響く。涙がこぼれる。
やばい、今、みっともない顔になってる。まだこんなに明るいのに!
たまらず、腕で顔を隠した。
「隠すなよ……フロウ」
あっと思った時には、両手首を掴まれて持ち上げられていた。だが、左手は相変わらず腰に巻き付いてがっちり抱え込んでいる。
「お前のあえいでる顔、見たい」
「趣味……悪ぃ」
「見る価値はある」
目が細められ、口の端がくっと上がった。
笑ってやがる。
皮肉でもなければ、嘲りでもない。増して蔑みでもない。眉の描く曲線が何とも優しげで……。
自分の体が、こんな表情を作り出してるってことが信じられない。
「すっげえいやらしくて、可愛い。最高にそそるよ……」
「言ってろ、ばかがっ」
恥ずかしいやら。こそばゆいやらで、つい、妙な具合に体に力がはいる。
「うあ。締めつけるなって、も、抑えきかなくなっちまうっ」
「今更手加減するよーなタマかよ、おら、さっさとやれっ」
やぶれかぶれになって叫ぶ。
素直に従ったのか、それとも余計に刺激してしまったのか。一声唸るなり、ダインはものすごい勢いでがっつんがっつん突き上げてきた。
「おごっ、ふぐっ、うぐ、あ、い、ぎっ、おぁっ」
がちがちに固くなって天井向けて反り返った自分の逸物が、びったんびったん腹を叩いてる。
やばい。
「ダイン、ダインっ」
派手にゆさぶられて、眼鏡がずりおちてきた。がっちり手首を掴まれてるから、自分じゃどうにもできない。
「ん」
「め……めっ」
こっち見てる。手をのばしてきた。眼鏡をつまむ。よし、気付いたな。そのまま外せ!
「………」
「何でかけなおすーっ」
「眼鏡かけてるお前って、三割増し……エロい」
このーっ!
怒鳴りつける暇もあらばこそ。心残りは消えた、とばかりにまた動き始めた。しかもさっきより激しい。暴れ馬に乗ってるみたいだ。
「おう、おごっあ、くっ」
押し出されて勝手に声が出る。自分でも何言ってんだか、わからなくなってきた。
「う、く、んっ、や、あっ、奥、よせっ、ふ、くっ、あふっ」
「フロウ……フロウ。なんか、すげえ締めてる、きついよ」
「の、割に良く動くじゃねえかっ」
「だって、気持ちいい、から、も、止まんねっ」
「ダイン。ダイン、ダインっ!」
悲鳴に近い声に動きが止まった。
「わ、かった、から、手、離せっ」
「う、うん」
改めて腕を彼の背中に回し、しがみつく。自分の体を支えるために。
「よ……よし……い、いいぞ」
返事もしないで動き出しやがった。
「あぉっ、お、あう、ひ、ぐ、おごっ」
天井が揺れる。地震かこれはっ! もう尻穴どころじゃない。咽まで突き抜けそうだ。体中の骨がめきめききしむ。ずしん、ずしんと響く振動が奥から逆流し、入り口をさらに熱くさせる。余計に感覚が鋭くなる。
(なるほど、確かにさっきまでのは、手加減してたんだ……)
「お、おく、らめ、おぅ、ふ、あうっ」
あ、ろれつ回んねえ。
酔っぱらってる。のぼせてる。
体のど真ん中を突き抜ける、若い雄に。
「あ、あ、フロウ、なんか、先っぽ当たってる、く、んんっ」
「うぁっ」
ごりごりと奥をこすりあげた肉棒が、震えながら膨らんで行く。入り口がぎちぎちと容赦無く押し広げられた。
忘れていた。ほんのしばらく離れていた間に、こいつの激しさを。一途さ、ひたむきさ。
そして。
「あ」
「う……んんっ」
世界が上下に揺さぶられる。体の中味が飛び出しそうで、歯を食いしばった。
一気に放たれた精が、容赦なく肉壁を叩く。押し出されるように、放っていた。
体内を満たす熱さが、さらに次の射精を促す。余韻に浸る間もなくまた突き上げられ、甲高い悲鳴が漏れた。
「ひぁあっ、あ、あっ、ダインーっっ!」
こたえるのは激しい息遣い。
若いってのは、これだから――――――。
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