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とりねこの小枝

4.背中を預けてもいいのかな

2011/11/23 0:56 騎士と魔法使いの話十海
 
 それが、薬草師フロウとの出会いだった。
  
 愛してもいいのだと。
 愛されてもいいのだと、彼が教えてくれた。
 左目の『呪い』を才能だと言い、胸を張れと、うなだれる広い背中をどやしつけた。

 その結果、ダインは変わった。

 馬上槍試合の会場で、一人ぽつんとたたずむ少女の下に赴き、彼女の名誉をかけて戦った。
 境界線を越えて、迷い込んできた異界の猫を拾いあげた。

 己の後ろに在るのは、別の盾でもなければ、か弱き者でもない。別の強さを持った仲間なのだと。背中を預けてもいいのだと。
 戸惑いながらも、少しずつ学んでいる。

 そして……
 フロウの言う所の『無自覚天然タラシ』が野に放たれた。
 彼は夢にも思っていないだろう。
 他ならぬ自分こそが、その封印を解いてしまったのだとは。

(了)
 
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