▼ 【side7-2】★★★蜜月の夜2
「世界で一番、愛してる」
「……君は俺のすべてだよ……この先、何があっても、ずっと……」
「信じてる。お前がそう言うのだから……」
そしてディフはレオンの頬に手を沿えて、顔を寄せて……
「あ」
小さく呻いて体を強ばらせた。
「どうしたんだい?」
「お………男って………悲しいイキモノだな…………」
硬直したまま、彼は耳まで赤くしてうつむき、ぼそぼそと呟いてきた。
首筋にくっきりと赤く『薔薇の花びら』を浮び上がらせて。
「い……今ので…………………………………………………………………………………………………勃った」
最後はほとんどとか消え入りそうな声になっている。
ああ、まったく何て素直な子なんだろう。
小さく笑うと、レオンは今度は自分からディフの体を抱き寄せた。喉の奥でまた、小さく呻いている。
薄い布地の下でその鋭敏な体がどうなっているかは……手に取るようにわかるのに。
「いいじゃないか、二人きりなんだから」
ちらっと拗ねるような顔で横を向く、その頬に手を当てて正面から見つめる。
「どうした?」
「……夢じゃないことを証明してくれるんだろ?」
「ああ。教えてやるよ……夢じゃない」
いきなりキスしてきた。さっきまでのくすぐるような甘いキスとは明らかに違う。獣じみた息づかいで唇をむさぼられ、水音を響かせながら口の中と言わず外と言わず執拗に舐め回される。
(最初っからそんなに飛ばして大丈夫なんだろうか? とりあえず、したいようにさせてみようか……)
肩をつかまれ、ベッドに押し倒される。
「っ、ディフ?」
答えはない。
ボタンを外し、慌ただしくむしり取る様にシルクの寝間着を脱がせて行く。いつもは優しげなヘーゼルブラウンの瞳が緑に燃えている。
欲情してる証拠だ。
(ああ……可愛いな)
口元に笑みが浮かぶのを余裕と思ったのか、それとも承諾と受けとめたのか。
キスが頬から顎、喉と滑り降りて行く。やわらかく吸うだけで跡を着けないように細心の注意を払って。
しかし、スーツの中に隠れる場所まで降りてくると急に強くなった。
「く……ディフ………」
「ここなら、跡つけてもいいだろ?」
楽しそうだな。目をきらきらさせて。
「しょうがない……ね」
にこっと笑って舌を這わせてきた。乱れた髪の先が肌に当たる。くすぐったい。
「ん……は……はぁ……っ……レオ……ン………」
思った通りだ。俺の体をむさぼってる間に自分の方がどうしようもなく熱くなってきている。シルクがこすれて余計に刺激になっているのだろう。
顔をすりよせるようにして乳首を口に含み、ちゅくちゅくと熱心にしゃぶりはじめた。
大胆だな。まだ部屋の明かりも消していないのに……。
「ここ……堅くなってる」
「髪があたるからだよ………」
艶めいたため息まじりのレオンの囁きに、ぞわっと体の奥の方で何かが蠢いた。自分のしている事で彼が熱く蕩けて行く、その事実に蕩けそうになる。
「……こんな風に……か?」
今度は意識して髪の先が胸の先端にこすれるように顔をすりよせた。
「っ……く、今日は……積極的だね?」
「新婚初夜だからな」
うるんだ瞳で見上げ、太ももなで上げる。
「あ……俺には手出しさせないつもりかい?」
「……出してみろよ」
にやっと口の端を上げると目をすがめ、上衣のボタンを外す。上、一つだけ。くい、と襟元を緩めてちらりと胸元を見せつけた。
「君が色々してくれるならもったいないような気がしてね……」
「………………………………」
どう言う意味だ?
「………………………」
俺が色々してるって……。
「……う」
したな。色々。
ってかついさっき俺、何やった? 自分から挑発するようなマネして!
「うぅ………」
気まずい。
レオンの奴は相変わらずにこにこしてる。さっき、色っぽい声出したことなんかもう忘れてしまったみたいに。
ちょっぴり悔しい。
一方的に俺だけ、お前に夢中になってるみたいで。熱くなってるみたいで。
「笑ってないで……手、出せよ」
ぼそりと言うと、ディフはレオンの手をとり、強引に自分の胸元に入れてしまった。
「俺だって……お前に欲情してるんだ。どうしようもないくらいに」
(本当に今夜は積極的だな……)
レオンの口元に小さな笑みが浮かぶ。
あからさまな言葉をそんな風に目を伏せて恥じらいながら言うなんて。
頬にキスすると、それだけで息を飲むのが伝わってきた。耳元に低い声で囁く。一言一言、彼の耳に吹き込むようにして。
「もっとキスしてくれ。俺に」
「ああ……」
言われた通り、素直に唇に濃厚なのを一つ。それから音を立てて体中に。
レオンも腕を伸ばして抱き返し、首筋や頬にやわらかなキスを返し、広い背中をなで回す。
二人の体でシルクがこすれているのだろう。どんどんディフの息が荒くなって行く。ちらりと見下ろす緑の瞳はうるんで今にもこぼれ落ちそうだ。
少しだけさまよってから、ためらいがちに視線を落してくる。
レオンの足の間に。
既にしっかりと硬さをそなえ、形が変わっていた。
こくっとディフの喉が鳴る。
そろりと顔を寄せ、きつ立したペニスを両手で包み込み、先端に丁寧にキスしてきた。ほんの少し、震えながら。
「……あ」
「……レオン。感じてるのか?」
うなずくと、嬉しそうに目を細めてぴちゃぴちゃと音を立てて舐め始めた。根本から先端まで丁寧に。
先端まで舐め上げてまんべんなく舌を這わせる。まるでアイスクリームでも舐めるみたいに。
「あ……ぅ……ん………っ……」
「可愛いな……レオン」
だ液で濡れそぼった舌をのばしてペニスの先端を突くとそのまま軽く含み、舌で押し出したり、軽く吸ったり。時折自分の口の周りを舐め回してから、改めてまた含む。
そんな仕草をくり返しながらうっとりと見上げてくる。
「……きみも……最高にいやらしい顔してる……よ」
「……なっ!」
一瞬、体を強ばらせて口を離してしまった。ぷいと横を向いて拗ねたような顔を見せたがそれもほんの数秒。
「……………………いいよ。お前になら……いくら見られても………」
ずぶっと根本近くまで飲み込んだかと思うと激しく頭を上下させて本格的にしゃぶり始めた。
溢れた透明な液が唇とペニスのすき間から滴り落ちるのも構わずに。
(本当に大胆だな。いつもなら、言われただけで真っ赤になってすくみ上がって動けなくなるのに)
柔らかな髪の毛の先端が乱れてこぼれ落ち……当たる。
(これは……たまらないね)
手を伸ばして髪をすくいとり、そのまま頬から耳までなで上げる。彼自身の赤い髪の毛で、いい具合に桜色になった肌をくすぐってやった。
「う……あっ、あっ」
ぽろりとくわえていたモノを離して喘ぎ始めた。
レオンの足の付け根に顔をすりつけてもじもじと腰をよじり、息を弾ませる。自分のだ液で濡れて光るペニスに顔を寄せたまま。
「く……ん……あっ………ぅ……髪の毛……いじるのは……は、反則……だ……あっ」
「反則? 何故?」
そのままゆるくウェーブのかかった赤毛で耳を包み込み、もみしだく。一段と声が高くなった。
「くぅ……う……知ってて……やってる……だろうが……俺が……そこ、弱いってっ」
「じゃあ、やめようか」
ぴくっとディフの体が凍りつく。さっきまで睨んでいたくせに、今はもうおいてきぼりをくらった子犬みたいな表情だ。
ふるふる首を横に振って、抱きついてきた。
背中に腕を回して引き寄せて、改めて唇を重ねる。舌を軽く差し入れると、堅く目を閉じて吸い付いてきた。
求められるまま奥まで舌を差し入れ、根本から先端まで何度も舐め上げる。互いの口の中にぴちゃり、ぴちゃりと淫らな水音を響かせて。
キスに夢中になっている間にくるりと横に転がり、自分が上になる。キングサイズのベッドは大人二人が十分に転げ回れる広さがあった。
「ん……レオン……もっと……触ってくれ………感じたいんだ……お前を」
自分からパジャマのボタンをはずそうとしている。
(ああ、まだ早いよ、ディフ。もう少し我慢してくれないと、ね)
手を押さえる必要もなかった。首筋や耳にキスしただけですくみあがり、手の動きが止まった。
髪の毛をかきあげ、左の首筋に口付ける。
「あ…あぁっ……レオン……もっと……」
「……ここ?」
同じ所を少し強く吸うとディフは湿った吐息を漏らし、自分から首筋に浮かぶ『薔薇の花びら』をさらけだしてきた。
中々に刺激的な眺めだ。時間の底に沈んだ忌わしい歯形がちらりと脳裏を過る。歯を立てたい誘惑を意志の力で退けた。
(今、そんな事をしたら……それだけで達してしまうだろうな、君は)
「そこ……気持ち……いい……」
「こっちは?」
ゆっくりと位置をずらして行く。しっとりと汗ばんだ肌の上に唇を這わせる。
「あ……もっと…………」
「ここ?」
「ぅ………………」
ほんの少しためらってから、彼は言った。今にも消え入りそうな声で。
自分の言う言葉で余計に追い詰められているようだ。いったい、どれほど感覚が研ぎ澄まされているのだろう。
「もっと……下………っ」
さらに胸へと。寝間着は脱がさない。つややかな薄い布地の上から唇を当てるだけ、それでも十分すぎるくらいに刺激になっているらしい。
堅く尖った乳首に舌を這わせる。
「く……あぁっ」
悲鳴が上がり、背中を反らせる。とりもなおさずその動作は、堅くなった足の間の逸物をレオンにこすりつけるような動きになってしまった。
「う……レオン……も……う………」
耐え切れないのか、またパジャマを脱ごうとするその手を押さえる。
「だめだよ」
「く……うぅ」
小さく首を横にふりながらも手は止めた。
(あまり長く君の身体を。背中の翼を見てしまったら……抑えが効かなくなりそうだ)
「この布……気持ちがいいだろ?」
布がこすれるようにシルクの上から胸のまわりを撫でた。
「あ、あ、あぁっ、よせっ」
よせ、と言いながらうっとりと蕩けそうな表情をしている。片手で胸のあたりを撫でながら、もう片方を背中に回してなで上げた。
「く……ふ…あっ、あっっ………ひっ」
今度は逆に背中から腰、太もも、と撫で下ろし、膝の後ろに手を入れて持ち上げる。ズボンの布が食い込み、ディフはびくん、と背中をそらし……それからきょとん、とした顔で見上げてきた。
どうやら胸の刺激を処理するのに頭が一杯で、自分に何が起きたか理解できなかったらしい。
「何して……あ、よせっ」
シルクの布地にくっきりと浮かぶ欲情の塊を目を細めてじっくり愛でる。
「……ん、ああ‥‥布が薄いから‥‥よくわかる」
「何……見て……」
足の裏にキスをする。布の食い込む感触に追い立てられていたところにキスを受けたのが効いたのだろう。
「う……あぁっ!」
つり上げた魚みたいにビクン、ビクン、と震え、体を跳ねさせた。
「今日はいつもより可愛い」
「ん……な訳ねえだろっ」
可愛いと言われるたびに睨んだり、ぶっきらぼうに言葉を返してくるのは一種の照れ隠しだ……ほとんど隠れてはいないけれど。
むしろ言われるたびに恥じらい、さらに自らの熱さをつのらせる。
「うん、いつでも可愛いけどね」
「ぁ………っっっ」
しがみつき、今度ははっきりと腰を揺すって堅くなったペニスをすり付けてきた。先端が布にこすれてさらに刺激されたのか、顔をしかめている。
だが……苦しんではいない。
「積極的だね……我慢できない?」
「く………」
ぶるぶる震えながらうなずいた。
「ああ……我慢…できな……い…………助けてくれ……レオン」
くるりと転がり、体勢を入れ替える。また、ディフが上になるように。
「あ……何?」
「助けてあげるよ……」
仰向けになったまま手のひらを上にして人さし指を立て、ちょい、ちょい、と手招きする。
「腰をこっちに寄せて」
彼はためらった。
ほんの少しだけ。それでも素直ににじりよってくる。
「もうちょっと上」
「こでれいいか?」
「もう少し」
ディフは膝立ちになり、レオンの胸を挟むようにしてまたがっている。
よし……いい位置だ。
手をのばすとレオンはディフのパジャマのズボンを軽く途中まで引き下ろし、ぷるんとこぼれ落ちた濡れた塊を口に含んだ。
「え……あ……レオンっ!? やっ、う、あ?」
次へ→【side7-3】★★★蜜月の夜3