▼ 【3-13-7】★★★★狂宴2
ドアを開け放ち、外に待機していた部下を呼び寄せた。
「待たせたな。改めて紹介しよう、レオンハルト・ローゼンベルクの愛人……いや『最愛の人』だ」
ほとんど声は素通しだったろう。目をぎらつかせて、物欲しげに部屋の奥をのぞきこんでくる。
「俺の昔の相棒でもある。どうだ、なかなかいい体をしてるだろ?」
「フレディ……っ!」
「ああ、そんな顔するな。安心しろ、ここで見ていてやるよ……お前が見ず知らずの男どもに犯される所を、じっくりとな」
くしゃっと奴の顔が歪む。かすかに首を横に振り、口の端がわなわなと細かく震えている。
ああ、いい顔だ……可愛いったらありゃしない。
「滅多にない上玉だ……さあ、たっぷり可愛がってやれ」
待ちかねたように部下どもが生け贄に群がってゆく。
狂宴の始まりだ。
「よせ……触るなっ」
四方八方から手が伸ばされ、奴の体をなで回す。何本もの手が肌の上を蠢き、這いずり回る。
乳首やペニス、関節の内側、首筋、太もも、脚。感じやすい部分はとくに念入りに。
探すのは簡単だ。奴はすぐに反応する。
別に優しくしている訳じゃない。
どいつもこいつもちゃんと知っているのだ……奴の体が今、どれほど鋭敏になっているか。
「あ……あ……や…め……あ……うぅっ、うっ」
緩慢な責め苦に身悶えして唇を噛み、少しでも声を殺そうとするのをさらに執拗に弄り回す。次第につねったり、爪を立てる動きが交じり始めた。
「そうだ、じっくりいじってやれ。触り心地がいいだろう? ああ、もう堅くとがってるじゃないか。しゃぶってやれ。噛んでやれ。いい声で鳴くぜ……」
一人が乳首にむしゃぶりつき、口に含んでじゅくじゅくとしゃぶり始めた。
「く…う……あぅっ」
それを合図に部下どもが一斉に奴に吸い付き、舐め回す。きめの細かな肌がみるみる唾液で汚されてゆく。
「ひっ、あ、あぁっ」
声が高くなった。誰か歯を立てたな?
「……おい、指入れる必要はないぞ。さっき俺がさんざんかき回してやったからな。遠慮なくぶち込んでやれ」
「OK、ボス」
即座に左右から手が伸びて、足が押し広げられる。容赦無く限界まで。
「やめろっ、やめ………っっ」
つい今しがた、俺が犯したばかりの場所に視線が集中する。見られたせいなのか。それとも未だしつこく肌をまさぐる手のせいか。ぽってりと充血した穴が、ひく、ひく、と震え、白い粘つく液体がこぼれ落ちた。
手下どもが一斉に喉を鳴らす。
一人目が慌ただしくジッパーを引き下ろし、自分の逸物を取り出してさらけ出されたアヌスにあてがった。
狂った様に彼は首を左右に振り、逃れようと暴れたが、寄ってたかってがっちり押さえ込まれる。
「く……あ……」
「いいねえ。ひくついてやがる。待ち切れないって感じだぜ………うぁ……すごいな」
何組ものぎらぎらした目が、食い入るように見つめている。
皆待ち構えているのだ……。
奴が犯される、その瞬間を。
「よ……せ……」
「嫌だね」
ぐいっと最初の一人が腰を進めた。
「ぅ、あぁーーーっ」
虚ろな部屋に響く心地よい悲鳴を聞きながら部屋を出た。
ベッドのスプリングが派手に軋んでいる。よほど待ち遠しかったのか、最初っからハイペースで攻めてやがる。
おいおい、無茶しやがって。少しは加減してやれよ?
「やっ、やめろっ、やめてくれっ、あ、ああ、あ、や、あ、も、あ、ひ、う、あ、ぅあっ」
撃たれても、殴られても膝をつかなかったタフな男が、あられもない悲鳴を挙げて鳴き叫ぶ。
「っ、よせ、何をっ………ぐ、うぅっ」
不意にくぐもったうめきに変わった
おやおや。誰か、せっかちな奴がいたらしい。自分の番が来るまで待ち切れなかったと見える。
上と下、いっぺんにぶち込まれるのは初めてだろうに。
ただでさえ感じやすい所にたっぷりクスリを効かせたあの体で……果たしていつまで正気でいられるやら。
気の毒に。
下げ渡すのを少し早まったかな。
惜しいような気がしないでもないが、焦ることはない。奴はもう逃げられない。
さしあたって自分は、先に仕事を済ませておこう。
切りとった髪の毛を封筒に入れて歩き出す。
こいつが届いた時、お前はどんな顔をするんだろうな……レオンハルト・ローゼンベルク。
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