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ローゼンベルク家の食卓

【3-13-14】★★囚われの天使

2008/06/13 3:52 三話十海
 あれからどれほど時間が経ったのだろう。
 今は朝か? それともまだ夜なのか?

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 閉め切った部屋の中でくり返し陵辱され、意識が霞むたびに煙草の火を押し付けられた。

「反応が鈍くなってきたな」
「そろそろガソリンを追加してやるか」

 やめろ……そのクスリはもう嫌だ!
 もがいても押さえ込まれ、容赦無く注射針が皮膚に刺さる。

「ぁ……あぁ……あ」

 得体の知れない疼きが体内を駆け巡り、脳内を侵食して行く。何度果ててもその熱は抜けず、居座り続ける。
 
「やめ…ろ……」

 また、誰かのしかかってくる。手錠は外されていたが、もう、押しのける力はなかった。

「う………あ……ん……あぅっ、んっ、あっ」
「ああ……いいぞ。遠慮する……な、もっと腰を振れ、ほら」
「ぃっ、あ、ぁっ」

 警察官だった時、何度も不慮の死を遂げた被害者と対面してきた。暴力で犯された性犯罪の被害者とも向き合ってきた。

 俺は………何もわかっちゃいなかったんだ。
 彼らの味わった恐怖。無念さ、絶望、悲しみさえも。

(帰りたいな……)
(一秒でもいい。ひと目でいいからもう一度会いたいよ)

 シエン。

(ごめんな)

 オティア。

(お前の笑う顔、見てみたかった)

「レ……オ……ン………………」
「……まだ……奴の名を呼ぶか……」
 
(フレディ?)

 喉を掴まれ、ぐいと引き起こされた。指が喉笛に食い込み、息が詰まる。間近に見下ろす水色の瞳は血走り、ぎらぎらと得体の知れぬ光に満ちていた。

(何がお前をそこまで狂わせた)

「う……ぐ…ぁ……」
「そんなに奴が大事か。そんなに奴が恋しいか!」

(俺の……せいなんだな……)

 俺の存在がお前を狂わせ、ルースから父親を奪った。

「マックス……大好き……」
「ああ。俺も大好きだよ、ルース」

 中途半端に手を差し伸べておきながら、救いを求めてすがりつくあの子に対し俺は警察官の義務を果たしただけだった。

「や……わたし……他所になんか……行きたくない」

 ごめん、フレディ。
 ごめん、ルース。

「そりゃそうだよな……初めての男なんだから……」

 荒々しくベッドに叩き付けられ、うつ伏せに押さえ込まれた。つかまれた肩に指が食い込み、鈍い痛みが走る。

「だったら俺にも、考えがある」

 どこからか消毒薬の匂いが漂ってきた。


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