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2010年5月の日記

【4-18-7】せめてその涙を

2010/05/28 1:36 四話十海
 
 バレンタインの翌日、センパイから電話がかかってきた。

「土曜日に、来い」
「事務所に?」
「家だ」
「……了解」

 そして今、ドアの前に居る。先月、ここに来た時はシエンと一緒だった。10ポンド入りのコメ、徳用のベーコン、エビ、そして特売のパスタ。豪快にショッピングカートに放り込んだ食材が、ずっしり詰まった重たい買い物袋を抱えてエレベーターからここまで歩いてきた。
 腕は今にも肩から抜けそうにギシギシきしんでいたけれど、心臓は喜びに打ち震えていた。
 あの時は花園の入り口に見えた扉が、今は凍てつく絶壁さながらに堅く、冷たく立ちはだかっている。
 
 これは、決別ではない。

 どすん、と拳で左胸を叩き、自分に言い聞かせる。
 これからもシエンと会い続けたいなら、ここを乗り越えなきゃいけない。どんなにあの人になじられても。怒鳴りつけられても。疎まれても、後には退かない。(ごめん、センパイ)

 背筋を伸ばし、呼び鈴に手を伸ばす。
 即座にインターフォン越しに呼ばれた。

「エリックか」
「はい」

 ドアが開く。
 ……いた。
 気のせいだろうか。赤い髪の毛がもわもわと逆立ってるように見える。
 ヘーゼルの瞳の奥にちろちろと緑の炎が揺れている。首筋の『薔薇の花びら』は……やっぱり、うっすら赤い。

「こんにちは」

 じろりと睨みつけてから、黙ってオレに背を向けて、ずかずかと歩いてゆく。居間に通じるドアの前でちらりと振り返り、顎をしゃくった。
 ついて来いってことだ。全身から燃え上がるオーラにあえて気付かぬフリをして、のこのこと尻尾を振ってついて行く。

「眼鏡外せ」

 居間に入るなり開口一番、真顔で言われた。

「……やっぱ殴るんですか」
「一発にしといてやる」
「一発で充分すぎですっ!」
「いいから、外せ……」
「はい……」

 しかたない。オレはそれだけのことをしてしまったんだから。
 眼鏡を外し、足を開いて踏ん張った。
 ぼやけた視界の中でごっつい拳が握られる。藍色のセーターの下で腕の筋肉が波打ち、盛り上がるのがはっきりとわかった。

「どうぞ」

 目を閉じ、歯を食いしばった。

 ばちーん!

 すさまじい衝撃に頭蓋骨がゆさぶられ、閉じた瞼の裏でパシっと火花が散った。体が半回転したものの床に倒れるには至らず、歯も折れてない。何より頬に当たった感触……
 目を開ける。振り切った拳は、開いていた。

「えっ、平手っすか、センパイ?」
「そんなにグーで殴られたいか?」
「いえっ、滅相もない!」

 背中をつたい落ちる嫌〜な汗を感じつつ、眼鏡をかけ直す。左の頬がじんじん熱い。きっとばっちり手形ついてるんだろうな。
 鼻の奥から鉄サビのにおいが込み上げ、鼻腔を通り、たらっと流れ落ちる。手の甲にぽつっと赤い斑点が散った。
 やばいよ、鼻血出てる。
 無言でさし出されたボックスティッシュを引き出し、鼻をぬぐう。

「……シエンと話、させてください」

 ティッシュ越しにくぐもった声で告げると、ぎろっと目をむいてにらみつけてきた。ぐいとヘの字に引っ張った口の奥で、ごりっと歯と歯のこすれる音が聞こえた。
 わあ、センパイ。そんな怖い顔初めて見ましたよ。かえって警察にいた時より凄みが増してる。
 すっかり主夫が板についてるかと思ったけど……あの子のためならそう言う顔もするんですね。
 もう一発来るかな。
 半ば覚悟を決めていたら、Dはふっと息を吐き、口を開いた。

「ドア越しなら、な」
「かまいません」
「来い」

 うなずき、更に奥に通される。居間を抜けて廊下を奥に。この辺りには始めて足を踏み入れる。未知のゾーンだ。
 前に来た時、シエンがリゾットを運んでいったのとは反対方向だ。
 ……そうか、こっちが子ども部屋なんだ。
 一つのドアの前で立ち止まると、センパイはそっとノックして声をかけた。

「シエン」
「……ディフ?」
「ああ。エリックも一緒だ」
「………」
「お前と話したいと言ってる。どうする?」

 答えの返ってくるまでの時間が、十年にも、百年にも感じられた。

「……話す」
「わかった」 

 のっしのっしとこっちに歩いてくると、センパイはぐいっと親指で子ども部屋のドアを示した。

「話せ」
「ありがとうございます」

 背後に大動物の気配を感じつつ、ドアに近づく。
 ちら、と振り返るときっちり二歩分離れた位置に立ち、腕組みしてこっちを見てる。付き添い……いや、見張り、か。

「……シエン」

 そろり、と扉の向こうで小さな生き物の動く気配が伝わってきた。
 はやる心を押さえてじっと待つ。ひたすら待つ。
 やがて、震える声が返ってきた。

「ごめんね」

 何度もシエンはくり返した。
 ごめんね。
 ごめんね。
 か細い声で、何度も、何度も。

「ごめんね……」

 こんな時まで謝るのか、君は……。
 ドアに手を当て、わずかな隙間に顔を寄せる。

「君は……悪くない………シエン。君は、悪くない」

 悪いのはオレなんだ。君を怯やかし、追いつめたのはオレなんだから。でもそんな事を言ったら君はまた謝るのだろう。

「……もう一度……チャンスをくれるかな……」

 震える喉から、つとめて穏やかな声を出す。

「ごめ……なさい…」

 声が、途切れる。咽の震えを感じた。まとわりつく涙の気配も。

(泣いているのか)

「オレもあやまる。ごめん、シエン」
「………エリック」
「また、君とコーヒー飲みたいよ……君がいないとさみしいよ……」
「エリック、エリック」
「今は………君の涙、ふいてあげられるほどそばに行けないけど……」

 手帳から一枚はぎとり、ひと言『いつもの店で待ってる』と走り書きしてハンカチに挟んだ。

「ちょっとだけ、ドア、開けるよ」

 ドアのすき間からハンカチをさし出す。
 沈黙のまま時間が過ぎてゆく。
 ほんの5分ほどだったがオレには永遠に等しい長さに思えた。
 軽い足音が近づいてきて、だれかがハンカチを掴む気配がした。手を離すと、そのまますうっと部屋の中に引き込まれて行く。

「……ありがとう」

 背後で咳払いが聞こえる。時間切れか。何ってベタな知らせ方。だけど問答無用で襟首ひっつかまれて引きずり出されるよかマシと思おう。
 扉を閉め、居間に戻る。
 子ども部屋に通じる廊下のドアを閉めると、センパイは振り向きもせず、言った。

「ちょっと待ってろ」
「はい」

 のしのしとキッチンに歩いていったと思ったら、すぐに引き返してきた。ひんやりとした物体が、ぐいと左の頬に押しつけられる。

「冷たっ」
「やる」

 何かと思えば、袋詰めの冷凍グリーンピースだった。なるほど、合理的だ。冷たい上に可変性があり、顔の曲面にフィットする。
 頬からぐいぐいと熱が吸い取られて行く……どんだけ熱くなってたんだか。

「お前は悪くないと、シエンは言った。だから俺は、あの子の主張を受け入れる事にする」
「ありがとうございます」

 だから、平手だったのか。

「また干からびそうになったら、飯食いに来い」
「……はい」

 二度と来るなって言われたら、何て答えようか。そればかり考えていた。
 その時、気付いたのだ。いつの間にかこの人のことを『男』じゃなくて『親』として見てるってことに。
 ゆるく波打つ赤い髪よりも。滑らかな雪花石膏のうなじに浮かぶ薔薇の花びらよりも。シエンにもう会えなくなったらどうしようって、その事でひたすら、頭がいっぱいだった。

「何、じろじろ見てる」
「いえっ、何でもありません! それじゃ……また」
 
 
 ※ ※ ※ ※
 
 
 オティアは手のひらのハンカチに視線を落とした。
 吸水性のよさそうな生成りの木綿。シンプルでこの上もなく実用的、生地はしゃんとしてるし、洗いたて。持ち主の几帳面さを伺わせる。かさり、と中に紙の手触りがあった。
 メモをしのばせたか。
 開くと、中には『いつもの店で待ってる』とだけ記されていた。

(あいつ……!)

 どうする。
 いっそ捨ててやろうか。

 ちらりとベッドの上に目を向ける。
 シエンが毛布をかぶり、オーレをかき抱いてうずくまっている。どうしても、触れられなかった。受け取ることができなかったのだ。
 だが、泣きぬれた紫の瞳は、じっとハンカチを見つめている。そして、手のひらにはしっかりとピスタチオグリーンの手袋をにぎっていた。

 ………しかたない。

 オティアはシエンの机の引き出しを開け、ハンカチを置いて、また閉めた。中に挟み込まれたメモもそのままで。
 そ、と毛布が動いた。小さく、ほんの僅かではあったけれど、確かにうなずいていた。

 泣きながら、怯えながらもシエンは感じていた。エリックは、ヒウェルやディフとは違うと。
 自分を上から守ろうとするんじゃない。同じ地面に立って、同じ目線で見ている。
 腕を捕まれ、引き戻されたあの瞬間。手のひらから痛いほど伝わってきた。包み込むような温かさとは違っていた。もっと熱くて、強かった。青と緑の入り交じる海色の瞳に引き込まれ、溺れそうになった。事実、ほんの短い間だったけれど思ったのだ。このまま溺れてしまっても構わない、と。
 誘拐されたときの恐怖がすぐに押し寄せてきて、全てを飲み込んでしまったけれど……。

『エリックは悪くない。悪くない』
『……そうか』
『エリックは悪くないんだ』
『うん。わかった』

 誰かを喜ばせる為なんかじゃない。安心させる為でもない。
 身代わりでもない。
 エリックが求めているのは、自分だけ。まっすぐ俺を見て、迷わず手を伸ばしてくれた。

(嬉しかった)
(だけど、それ以上に怖かった。たった一人で、自分の本当の心をさらして彼と向き合うのが……)

 白い子猫に顔を寄せる。ぽろりとこぼれた温かな雫を、小さな舌がぺろりと受け止めてくれた。

 行かないで。行かないで。
 顔が見たい。追いかけたい、だけど、動けない。
 外に出るのが、怖い。
  
「……ック……」
「に?」

 か細い声でささやかれる名前に、オーレはちょこん、と首をかしげた。自分でもない。王子様でもない。所長さんとも違う、馴染みのない名前に。
 
 
 ※ ※ ※ ※
 
 
 声さえ聞ければそれでいいって思っていた。だけど、そうじゃなかった。声を聞くなり、胸が焦がれた。
 顔が見たい。一目でいい。少しくすんだ金色の髪、やわらかな紫の瞳。両手でコーヒーのカップを抱えて、ふわふわのミルクを飲む姿。ちょっと戸惑ったようなほほ笑み。

『参ったなあ、コーヒーかける気満々?』
『ごめん、かけないように気をつける』
『かけられても、別にいいけどね』

 シエン。
 さっき会ったばかりなのに、もう恋しくてたまらない。
 やっぱりドア越しなんかじゃ、ダメだ。
 切り裂かれるような痛みが教えてくれる。お前の心臓は、ここに在るのだと。
 
 毛布をかぶり、ベッドにうずくまる少年と、寒空の下、背を丸めてとぼとぼ歩くバイキングの末裔。
 自分で思っているよりもずっと強く、二人は想い合っていた。そのことに気付いたのは、皮肉にも試練が訪れた時だった。


(苦いコーヒー/了)

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ボーイミーツボーイ

2010/05/28 1:48 短編十海
  • 拍手お礼用短編の再録。ロイと風見、幼い日の出会い。
 
 ロイ・アーバンシュタインは昔から素直な少年だった。

 そして昔から祖父を心から尊敬し、慕っていた。愛していた。
 彼は幼い頃、繊細で神経の細い子だった。人見知りで引っ込み思案。些細な刺激に怯え、夜はあまり寝つけず、食も細く、季節の変わり目にはしょっちゅう熱を出していた。そこで両親の住むワシントンDCを離れ、気候の良いカリフォルニアに住む祖父の元で過ごすことが多かった。

 毎晩のようにロイはおじい様の広いあったかい膝に乗り、おじい様が出演した映画のビデオを見て過ごした。
 結果として小さなロイ少年にとってのヒーローが、スーパーマンやバットマンより断然、ニンジャであり、サムライになって行ったのは自然な成り行きだったと言えよう。

「すごいや、おじい様、あの人、あんなに高くジャンプしてる。わお、素手で石を真っ二つにしたよ!」
「あれはニンジャだよ、ロイ」
「ニンジャ! すごいなー、かっこいいなー」

 青い瞳をきらきらさせて、幼いロイは祖父に言った。

「ボク、大きくなったらニンジャになりたい!」
「そうか!」

 おじい様はロイの頭を撫でて豪快に笑った。

「よし、では私の親友が日本にいる。優れた武道家だ。もうすぐ夏休みだし、お前、彼のところで修業してみるかい?」
「うん!」

 引っ込み思案な孫の驚異的とも言える積極性に、有頂天になったおじい様は速攻で親友に連絡をとり……準備万端、訪日の手はずを整えた。

 こうして幼いロイ少年は祖父に連れられて海を渡り、はるばると日本へ武術修業に赴いたのだった。
 瓦屋根のあるどっしりした門をくぐると、現れたのはまるで映画のセットに出てくるような古い武家屋敷。本物の石灯籠、ふんわりとやわらかな緑のコケ。澄んだ水をたたえた池には、色とりどりのニシキゴイが泳いでいる。

(すごい、ここは本当にサムライの家なんだ!)

 ロイは目を輝かせてきょろきょろしながら広い庭を歩き回った。力強い曲線を描く松の木に見とれ、近づいてゆくと。

「やあ、とう!」

 鋭い気合いとともに、びゅん、びゅん、と刀を振る音が聞こえてくる。そう、とっさに刀だと思った。それ以外に考えられなかった。
 松の木の幹に手をかけて、そおっとのぞきこむと……。

「やあ、とう!」

 キモノを着た少年が一人、きびきびした動きで竹刀を振っていた。涼やかなまなざしはきっと前を見つめ、背筋がぴしりと伸びている。自分と同じぐらいの年ごろだろうか。手も、足も引き締まり、丈夫そうだ。
 そして、この太刀筋……直感で悟った。
 本物だ。
 手にしているのは竹刀、だけどこの子はまぎれもなく斬っている。

(サムライだ……サムライがいる!)

「ん?」
 
 気配に気付いたらしい。
 ちっちゃなサムライボーイは素振りの手を休め、無造作に汗をぬぐうとロイを見て、にこっと笑った。その瞬間、ロイの心臓は目に見えない矢に射貫かれていた。

「やあ!」

 どきどきする心臓を両手で押さえつつ、ロイは進み出た。いつものシャイな自分をすっかり忘れていた。
 
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 illustrated by Kasuri
 
「ハ、ハロー……」
「君、アーバンシュタインさんとこのお孫さんだろ?」
「う、ウン」
「やっぱりな! じっちゃんから聞いてたよ。俺は光一!」
「ボクはロイ」
「よろしくな、ロイ!」
「ウン!」

 Boy meets Boy。
 こうして二人は出会った。

 一緒の部屋で寝起きして、ご飯を食べるのも一緒。ラジオ体操も一緒。稽古をするのも一緒。お風呂も一緒。どこに行くにも一緒。
 風見光一の祖父は、彼に親友の孫の面倒を見るように言いつけていた。何より光一自身も、ロイと言う友だちができたのが嬉しくてたまらなかった。

 同じ年ごろの少年では、初めてだったのだ。自分と同じレベルで野を駆け、竹刀を振るい、木に登ることのできる『仲間』を得たのは……。あるいは、身のうちに秘めた素質が、この頃から既に秘かに呼び合っていたのかも知れない。
 
 ほどなく、彼らは固い絆で結ばれた親友になった。
 光一の祖父の教えには、武道のみならず、書道や茶道と言った精神を研ぎ澄ます鍛練も含まれていた。最初は慣れない筆と墨に戸惑ったものの、少年たちは熱心に自分の名前を練習した。
 勢い余って紙からはみ出したり。あるいは筆に墨をつけすぎて、紙が破けたり。さんざん失敗を繰り返し、やっと納得の行く一枚ができあがった時はロイと光一は顔を見合わせてにっこり笑った。

 多少、文字がまちがってはいたけれど、光一の祖父は大きな花丸をくれた。

 毎日、二人は修業し、勉強し、終ってからは裏の山で夢中になって遊び回った。
 夏が終るころには、引っ込み思案で体の弱かったロイ少年は真っ黒に日焼けして、見違えるほど丈夫になっていた。

 しかし、楽しい時間はあっと言う間に過ぎてゆく。
 やがて夏休みは終わりに近づき、ロイがアメリカに帰る時がやってきた。
 二人とも別れが悲しくてわんわん泣いた。一緒になって庭の松の木にしがみつき、双方の祖父がひっぱってもがっちり掴まり、離れようとしなかった。
 孫の成長を喜ぶ一方でそのあまりの意志の強さに困り果て、ロイの祖父は言った。

「わかった。お前が一人前のニンジャになったら、その時また、日本に来なさい。コウイチと一緒に、日本の学校に通いなさい」
「そうだ、ロイくん、ぜひ、そうしたまえ! 私も待っているぞ」
「………ホント?」
「ああ、約束する。武士に二言はない」
「だから、その前に一度アメリカに帰ってこい。日本で一人で生活できるように、アメリカでしっかり勉強するんだ」

 青い瞳に涙をいっぱいにためて、ロイはこくんとうなずき、親友と指切りをした。

「離れていても、俺たち親友だからな!」
「ウン! コウイチ、ボク、一生懸命修業する。立派なニンジャになって、必ず日本に戻ってくる!」

 そもそも最初はニンジャになるために日本に来たんだろう、とか。それじゃ本末転倒だろう! とか。純真で一途なロイ少年はカケラほども考えつかなかった。

 そして、現在。

「ロイくん、風見くん?」
「あらあら、まあまあ」
「よく寝てること」
「これじゃお部屋に運ぶのは無理ね」
「お布団もってきてあげましょう」
「そうしましょう」
「でも、その前に」
 
 結城神社の居間で、ロイと風見はぴったり寄り添って眠っていた。
 ぱしゃり。
 二人の母さんたちの構えた携帯の画面の中、幼いあの日と同じようにしっかりと手を握り、しあわせそうにほほ笑んで。

(ボーイ・ミーツ・ボーイ/了)

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