▼ 【side9】★★君香る夜
【4-13】バイキング来訪の翌日、木曜の夜の1コマ。
【4-13-8】★お早うのキスは?では、「まま」が「ぱぱ」をぎゅー、していましたが、木曜の夜は……。
「あ」
終わった後で、首筋にキスされた。思わず声が漏れる。
火照りの残る肌を、柔らかな吐息が撫でる。不思議だな。ほんのかすかな呼吸の中にさえ、お前の声を感じる。
「よせよ、くすぐったい」
「いいにおいがする」
「汗くさいだけだろ」
「君のにおいだ」
「……言ってろ」
お返しとばかりに髪の毛に口づけた。さんざん暴れた後だ。いつもきちんとセットされてるのが乱れて、しっとり濡れている。
試しに、かいでみた。確かにうっとりするほど心地よく、香るほどに安らぐ。
くしゃりと撫でると小さく笑い、胸に顔をうずめてきた。
「愛して……る……」
「レオン?」
すーすー寝息を立ててる。おいおい、まだおやすみも言ってないじゃないか。寝間着はおろか、下着も着けてないってのに……
せめて上だけでも着せておくべきか。
ベッド脇の床に落ちている柔らかな布に向かってそろりと手を伸ばす。が、途中でくんっと引き止められた。
困った。レオンの腕がしっかり巻き付いて、動けない。
「おい……」
「ん……」
こいつ。寝たまま顔すり寄せてきやがった!
いいさ、そのまま寝てろ。ずっと抱いててやるから。
「俺も愛してるぞ、レオン」
なめらかな額にキスして、目を閉じる。
じきに意識が霞み、ぼやけて……とろけて行った。
混じり合う二人の温もりに。
(君香る夜/了)
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