▼ kitten's eyes
2008/03/11 5:19 【短編】
あたしは猫。
まっしろの体に一つだけ、お腹にカフェオーレ色のぶちがある。
だからオーレって呼ばれてる。
生まれたのは本がいっぱいある静かなところ。
兄弟がいっぱいいたけどちょっとずつ他所にもらわれてって、最後にあたしの番が来て。
そして、オティアの家に来た。
オティアの肩の上は最高に見晴らしがよくて、あったかくて、安心できる。
あたしだけの特等席なの。
このお家に来る時に、なんだかあったかくて狭くて気持ちいい場所にいたような気がするんだけど…
忘れちゃった。
ヒウェルは割と好きかな? いっぱい遊んでくれるし。
でもオティアが一番。
毎朝、オティアと一緒に出勤するの。
所長さんはお家にいるときとちょっと感じが違うけど、なで方が上手だからけっこう好き。
でもオティアが一番。
あたしも事務所の一員なのよ。ちゃんとお仕事もしてるんだから!
オティアと所長さんがお出かけするときは上の法律事務所にアルバイトに行くの。
お世話はアレックスとシエンがしてくれるわ。
アレックスはシャンプーさえしなければいい人。
シエンはオティアの兄弟だから好き。このごろちょっと仲良くなれたし。
でもオティアが一番。
法律事務所に行くとあたし専用のお席に座るの。
本棚の上よ。
そこから事務所を見守るのがお仕事。
時々うるさい人がくるから油断できないの。デイビットと、レイって呼ばれてる人。
身体がおっきくて、がしゃがしゃ動いて声がすごーくうるさいの!
もう、やんなっちゃう。
レオンは静か。
とっても静か。
あたしを見ても何も言わない。
それはそれでちょっと寂しい。
やっぱりオティアが一番。
お仕事が終わるとオティアが迎えにくるの。
あたしは尻尾をぴーんと立てて報告に行くわ。
『ちゃんとお仕事したよ!』って。
そして下の事務所に戻って、夕方までまたそっちでお仕事。
お客様のお相手もちゃんとするわ。みんなあたしを見てこう言うの。
『まあ、真っ白。なんて可愛い子猫ちゃん』
でもオティアが一番。
お家に帰ると一緒にご飯をたべに隣に行くの。
エリックが来る時はエビが出るからうれしい。
でもあたしはスープだけ。身は食べさせてもらえない。
ひとくちでいいから食べたいのにぃ。
最近ちょっとあたしはヒウェルがきらい。
だって夜になるとオティアにひどいことするんだもの。
よくわかんないけど、あんなに声出してるんだから、きっとそう。
オティアをいぢめたら許さないんだから!(かぷ)
かぢかぢかぢかぢかぢ
「オーレ…そんなに美味いか、俺の手」
かぢかぢかぢかぢかぢ
「いや、いいけどさ…」
足を踏ん張って冷蔵庫の上からにらみつける。
どう、この迫力!
オティアはあたしが守るんだから(ふんっ)
「敵だと思われてないか」
「なんか…そんな気がしてきた」
ヒウェルがじーっと見上げて話しかけてくる。
「やれやれ、君をこの部屋にお連れしたのはいったい誰だとお思いか」
そんな優しい声出したって、ごまかされないんだからね!
「ったく…何やったんだ。ほら、来いオーレ」
「にゃああん」
ヒウェルの頭を踏み台に、オティアの肩までひとっ飛び。
オティアはしっかりあたしをだっこして、優しく優しくなでてくれる。
あたしはぐいぐい身体をすりよせて、喉をごろごろ鳴らす。
やっぱり、世界でいちばん、オティアが好き…。
(kitten's eyes/了)
まっしろの体に一つだけ、お腹にカフェオーレ色のぶちがある。
だからオーレって呼ばれてる。
生まれたのは本がいっぱいある静かなところ。
兄弟がいっぱいいたけどちょっとずつ他所にもらわれてって、最後にあたしの番が来て。
そして、オティアの家に来た。
オティアの肩の上は最高に見晴らしがよくて、あったかくて、安心できる。
あたしだけの特等席なの。
このお家に来る時に、なんだかあったかくて狭くて気持ちいい場所にいたような気がするんだけど…
忘れちゃった。
ヒウェルは割と好きかな? いっぱい遊んでくれるし。
でもオティアが一番。
毎朝、オティアと一緒に出勤するの。
所長さんはお家にいるときとちょっと感じが違うけど、なで方が上手だからけっこう好き。
でもオティアが一番。
あたしも事務所の一員なのよ。ちゃんとお仕事もしてるんだから!
オティアと所長さんがお出かけするときは上の法律事務所にアルバイトに行くの。
お世話はアレックスとシエンがしてくれるわ。
アレックスはシャンプーさえしなければいい人。
シエンはオティアの兄弟だから好き。このごろちょっと仲良くなれたし。
でもオティアが一番。
法律事務所に行くとあたし専用のお席に座るの。
本棚の上よ。
そこから事務所を見守るのがお仕事。
時々うるさい人がくるから油断できないの。デイビットと、レイって呼ばれてる人。
身体がおっきくて、がしゃがしゃ動いて声がすごーくうるさいの!
もう、やんなっちゃう。
レオンは静か。
とっても静か。
あたしを見ても何も言わない。
それはそれでちょっと寂しい。
やっぱりオティアが一番。
お仕事が終わるとオティアが迎えにくるの。
あたしは尻尾をぴーんと立てて報告に行くわ。
『ちゃんとお仕事したよ!』って。
そして下の事務所に戻って、夕方までまたそっちでお仕事。
お客様のお相手もちゃんとするわ。みんなあたしを見てこう言うの。
『まあ、真っ白。なんて可愛い子猫ちゃん』
でもオティアが一番。
お家に帰ると一緒にご飯をたべに隣に行くの。
エリックが来る時はエビが出るからうれしい。
でもあたしはスープだけ。身は食べさせてもらえない。
ひとくちでいいから食べたいのにぃ。
最近ちょっとあたしはヒウェルがきらい。
だって夜になるとオティアにひどいことするんだもの。
よくわかんないけど、あんなに声出してるんだから、きっとそう。
オティアをいぢめたら許さないんだから!(かぷ)
かぢかぢかぢかぢかぢ
「オーレ…そんなに美味いか、俺の手」
かぢかぢかぢかぢかぢ
「いや、いいけどさ…」
足を踏ん張って冷蔵庫の上からにらみつける。
どう、この迫力!
オティアはあたしが守るんだから(ふんっ)
「敵だと思われてないか」
「なんか…そんな気がしてきた」
ヒウェルがじーっと見上げて話しかけてくる。
「やれやれ、君をこの部屋にお連れしたのはいったい誰だとお思いか」
そんな優しい声出したって、ごまかされないんだからね!
「ったく…何やったんだ。ほら、来いオーレ」
「にゃああん」
ヒウェルの頭を踏み台に、オティアの肩までひとっ飛び。
オティアはしっかりあたしをだっこして、優しく優しくなでてくれる。
あたしはぐいぐい身体をすりよせて、喉をごろごろ鳴らす。
やっぱり、世界でいちばん、オティアが好き…。
(kitten's eyes/了)