僕を抱くのは鮮血の赤。
今までも。これからも、ずっと。
『僕』の仕事は人殺し。ちっちゃな頃から仕込まれて、他は知らない。これしか知らない。
結果。一流の殺し屋であると同時に赤い血に陶酔、理性を吹っ飛ばす悪癖を拗らせる。
フリーランスになった今はネットを介して依頼を受けて、趣味と実益を兼ねた人殺しに精を出す日々。
「止せ。その子、嫌がってるだろ」
赤いフードで顔を隠し、都会の闇を密やかに。影より静かに渡り歩く少年が、ある日出会った『おじさん』。
へたれでどMで中年で、面倒見の良いお人よし。そのくせひと睨みで悪魔をビビらせる。
「おじさんもホストなの?」
「さすがに現役は引退したよ」
あなたの赤い血を浴びたい。
君に赤い血を捧げたい。
正反対の方向で、共に血の赤に酔う狂気と歪みを抱えて生きる二人。
片や狂気に身を任せ、片やギリギリのラインで踏みとどまって。
彼らが出会ったのは幸か不幸か偶然か。
(このひとのなかに ケダモノがいる)
(引き出せるのは、僕だけ)
狂気も突き詰めれば無垢となる。
少年赤ずきんの魂を求めてつきまとう地獄の悪魔。
愛も突き詰めれば執着となる。
かつて『おじさん』と愛し合いながらも彼を捨て、未だ執拗な嫌がらせを繰り返す元彼。
『お前は俺のモノ』
『お前が欲しい』
ヒトの思惑、悪魔の企み、少年の恋、男の愛。
交錯する欲と情とがもつれあい、絡み合った果てに待ち受けるのは、破滅か成就か?
赤ずきんのフードが赤いのは、きっと真っ赤な血を浴びるから。