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» 闇狩り師1 (再録) » date : 2004/09/25  
■闇狩り師1
  夢枕獏:著 寺田克也:絵
  徳間デュアル文庫 ISBN4-19-905006-X 619円

この本を買うのは何度目だろう?
一度目は新書判で。
二度目は文庫本で。
コミックス化された時には雑誌を立ち読みし、しっかり単行本も買ったもんだ。
そして今回、徳間から新たに刊行された「デュアル文庫」。(日本SF新人賞の受賞作を、どうやらこの文庫で出してゆくつもりらしい。)(ほかの再版シリーズは、文庫の性質づけってとこか?)
表紙が寺田克也だったのも魅力的。

何かと言えば、あれですね。夢枕獏の「闇狩り師」。
『祟られ屋』九十九乱蔵を主人公とした、今やすっかりお馴染みとなったオカルト+アクションのホラー小説の開祖的な作品です。

寺田版「乱ちゃん」は、唇ぶあつくって、獅子っ鼻で、まさに「岩を刻んだような巨漢」と言うイメージぴったしです。んでもひとっつだけ不満が…肩のシャモン、でかすぎ(笑)
(この比率じゃあ大人猫だよお)

「どっと凄い力が叩きつけられて」窓が内側にたわんだり。
「鼻血が生き物のように」流れていたり。
ぱらぱらと読んだだけで「あ、やっぱし自分、この人の影響受けてる、受けてるよ」と改めて思っちゃいました。(読んだの、かなり昔の事なんだけどね。)あと、この頃の夢枕さんは、硬質と言うか、どこか池波正太郎を連想させるような、映像的な書き方をしていたんだなあ、と。

呪術を素材として使っていても、「蘊蓄」の部分は必要最小限に押さえて読む時にリズムを崩さない程度にしている。だから、読みやすい。『ああ、もうパスっ』ってなことにならない。日常生活から、うんとこさ、懸け離れてるモノを描いているのに、鋭利な影に縁取られ、あたかもすぐ隣で起きているよかのような生々しさで迫ってくる。
ただし、そこに共通してるのは「おまじない唱えてはい終わり!」的な安易さではなく、『困難をどーにかしたいなら、生身の人間がぶちあたれ』『ぶちあたって壁を突き破れ!』と言う、単純かつ基本的な事であるように思える。

さて時は流れて当時は初々しい高校生だったワタクシも、めでたく三十の坂を超えた。しかし本の中の「乱ちゃん」は歳をとらない。かろうじて三十代前半だから、ほぼ同年代に追い付いてしまった事になる。
以前は「頼もしく」思えた彼ですが、今読むと…
何てこったい。 『可愛く』 見える!?
» category : 本のこと ...regist » 2004/09/25(Sat) 02:29

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