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» 百鬼夜行解体新書 » date : 2004/03/01  
【データ】
編著村上建司+スタジオハード
イラスト:田口順子/近藤ゆたか/今井修司/山下しゅんや/京極夏彦
出版:コーエー/INBN4-87719-827-X 1600円
ジャンル:妖怪
B度:★★★★★(ついでに目からウロコ100枚)

*****感想*****
 コーエーから出版された妖怪解説本。特定のゲームの解説本ではなく、京極夏彦の「巷説百物語」をはじめとする小説や漫画、TV(ゲゲゲの鬼太郎、悪魔くん、河童の三平にまじって堂々とラインナップされてるニンジャ戦隊カクレンジャー… マニアック すばらし過ぎ。)、映画などに登場する妖怪たちを、1体につき1点、丁寧なイラストを添えて紹介、いやさプロファイリングしている「大人のための正しい妖怪図鑑」。
 そう、正しいのである。
 この本を読んで、イカに昔の児童書がいい加減に創られていたか身に染みました。
 ええ。佐藤有文著作の「日本妖怪図鑑」。
 これ、水木しげる先生の漫画の設定(むろん、マンガにあわせてアレンジしてある!だから実際の伝承とは異なる場合もある)をまんまパクったやつとか、絵から想像して勝手に書いた部分がかなり混じってたんだそうで……。そら、モトが妖怪なだけにどれが『事実』だ、とは言い難い。けれど、どの伝承にも文献にも載ってない事を、あたかも400年前から言い伝えられていたかのように書くのはどーしたもんですかねえ。確かに妖怪伝説とは語られるたびに変化するものだけどさ。創作と銘打ってるのならともかく、「図鑑」なんだからさあ。東スポじゃないっつの。しかも、おそらく子供が初めて触れる知識なんだぞ?
「ヒョウスベにつられて笑うと死ぬ」のも、「うわんと言う妖怪は墓場の主で、『うわん』と声をかけられたら『うわん』と答えないと棺桶に引きずり込まれて死んでしまう」って言うのもウソだったなんてっ。ヒドイや、佐藤有文さんっ。
 
 夜中にトイレに行けないほど怖がった私の過去はいったい…(号泣)
 ええ、そうですとも。
 マジで怖がってましたよ、私。
 もう20年以上も前のことですか…(ふう)
 この分だと、二首女の「にたりと笑った顔を見ると死ぬ」っつーのもウソだな、ありゃあ。そもそも二首女なる妖怪の存在自体も何やらうさん臭くなってきた……。
 そう言う訳ですから。
 かつて、子供向けの「妖怪図鑑」で一通り知識を仕入れたつもりの方。ぜひともこの本、読んでみてください。かなりカルチャーショック受けるから(笑) 全て、正しい出典が明記され、イラスト化されているからイメージしやすい。小説やマンガ、シナリオの資料にもよろしいかと思います。

PS ちなみに京極夏彦はしっかりインタビューにも登場しています。
» category : 本のこと ...regist » 2004/03/01(Mon) 16:33

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