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とりねこの小枝

教えて?フロウ先生!8―世界と神々4水の神―

2012/07/29 0:03 その他の話十海
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<教えて?フロウ先生!8―世界と神々4・水の神―>

「さて…次は水の神だが…リヒキュリアについてはお前さんが説明してみな。」

「えっ…私が?」

 カリカリと、いつの間にか齧っていたシナモンの枝先をクイッと金髪の少女に向けて男が告げる。
 少女はびっくりしたような顔をする。急に話を振られて戸惑ったようだが、男は緩やかに言葉を続けた。

「そ、自分の守護神くらい、自分で説明してみな?モレッティ大夫人から色々聞いてるだろ?」

「そ、そうね…よし、えっと…。」

 言われて少女は自分の祖母…元・リヒキュリアの神官であるド・モレッティ大夫人から聞いた言葉を思い返す。

「聖水神リヒキュリア様、通称は確か慈雨神…雨や河川、泉を司る水と慈愛の女神様で、私の守護神。
 雫の形をした聖印が主流だけど、雲の形してるのを身に付けてる神官様を見たこともあるわ。
 教義は『慈愛の雨を降らせよ、弱き者に救いの雫を』…困ってる人は積極的に助けましょうってことね、きっと。
 ……えっと、これで良い?あ、水色の長い髪の乙女の似姿を良くみかける!」

 最後に付け足しながらも、自分の神について熱心に説明する少女に、男は満足そうに頷き。

「上出来上出来…あと付け足すなら、もう一つの教義だな。
 リヒキュリアのもう一つの教えは『水面の如き静かな心を、激情は水をにごらせる。』
 まあ早い話、落ち着いて冷静に行動しましょうってことだ。」

「セアラお姉さまみたいにってことかしら…うぅん、私には無理そう。」

「なはは…そういえば、お前さんって4人姉妹だったよな…それぞれの守護神知ってるのか?」

「あ、うん。えっと…長女のマイラお姉様とお父様がリヒテンダイト様、次女のレイラお姉様がリヒトファイゼ様、
 セアラお姉さまは私と同じリヒキュリア様…。」

「なるほど、ものの見事に聖神信仰だな。いやまあ、騎士の家系なら別におかしくはないが。」

「うん、多分師匠が初めてだもの。私が会ったことのある魔神の信徒って…あ、そういえば魔神の水の神様って?」

「ん、水魔神マギアクエス。通称蒼海神…海と自由を司る神様だな。三叉槍を構えたマーマンの偉丈夫の姿似が多いんじゃないかね。
 細波みたいに波打った装飾の聖印で、海の神様だから船乗りや猟師…あと自由を司るから旅芸人とかが信仰してることも多いさね。
 教義は単純明快『自由な姿こそ水の本質なり、あるがままに…なすがままに生きよ。』…要はやりたいことやれってことさね。」

「え?いやなんか…それ凄く大雑把じゃない?それって良いの?」

「まあ、魔神は大抵自由に生きることを推奨してるからなぁ…ただし、自由にはそれだけの責任が伴うもんだ。
 『危険から逃げることは罪ではない、しかし己から逃げるのは罪である。』…自分がしたことは、ちゃんと自分でカタを付けろ…ってな。」

 ま、無責任な俺が説く言葉でもねぇが…と付け加えながらクツクツと、男は喉を鳴らすように笑えば…少女はキョトンと首を傾いで。

「そう?なんだかんだで師匠って色々律儀だと思うけどなぁ…。」

「……言ってろ。ほら、次の説明するからメモの準備しろ。」

「はぁ~い。」

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