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ローゼンベルク家の食卓

義理と人情のバレンタイン

2009/02/14 0:25 短編十海
(バレンタイン前日、社会科教務室にて)

ロイ「ヨーコ先生、質問よろしいでしょうか?」
ヨーコ「ん? どーしたロイ。まーた深刻な顔しちゃって」
ロイ「日本のバレンタインデーはアメリカとは習慣が違いますよネ?」
ヨーコ「ああ。アメリカだと男女関係なく恋人同士で贈り物したりするよな。ぬいぐるみのクマとセットになったハートチョコとか」
ロイ「ハイ」(そわそわそわ)

ヨーコ「まあ、あれだ。日本でも友チョコなんてのもあるから気軽に贈ってもいいんじゃないか?」
ロイ「トモチョコ、ですか」
ヨーコ「うん。お友達同士で交換するんだ。あと義理チョコな」
ロイ「ギリチョコ……」
ヨーコ「そーそー。本命くんにあげたいのに気づかれたらどうしよう、そうだわ、大きく『義理』って書いておけば! なーんて矛盾に満ちた心の葛藤を優しくオブラートで包んでくれる奥ゆかしい風習で……」

ロイ「ありがとうございました!」(しゅたっ)

ヨーコ「おーい! ………行っちゃったよ。しかも窓から。ここ、二階だぞ?」


そして当日。
ロイがどんなのを贈ったかはこちらでご確認ください↓
 
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※月梨さん画「バレンタインの贈り物」(クリックで拡大)

スペースの都合で若干一名、入りきれなかった奴もいたりするんですが、気にしない方向で。
 
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※月梨さん画「ひろってプリーズ」

そしてロイから「由緒正しき義理チョコ」をいただいた風見くんは……

風見「先生、ちょっと買い物つきあってもらえませんか?」
ヨーコ「ん? いいけど、何買うの」
風見「チョコレート」
ヨーコ「ふーん……いいよ、あたしもお返しのチョコ買い足しときたいし。駅前の松越デパートでいいか?」
風見「いいですよ」
ヨーコ「あそこのテナントのチョコ、逸品ぞろいなんだー」(うきうき)
風見「(スキップしてるし……)」

そしてデパートのバレンタインフェア会場にて。

風見「すいませーん、このハートチョコ一つください」
店員「はい。メッセージはお入れしますか?」
風見「はい、お願いします(かきかき)これで」
店員「あの…………本当にこれでよろしいので?」
風見「はい!」(爽やかな笑顔)

爽やかに友チョコを返すのでした。
 
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※月梨さん画「それでも彼は幸せ(きっと)」

風見「やっぱ義理と言ったらこれだよな!」
ロイ「(ああコウイチ……そのちょっとズレたところもむちゃくちゃキュートだよっ)」
風見「それと、これはうちの妹からな。ロイおにいちゃんにって」
ロイ「Oh?」
風見「勘違いするな、義理だぞ、義理! 俺もじっちゃんももらってるんだ」
ロイ「そっか……義理チョコか……」

ちょっぴりふぞろいな形のチョコクッキーは風見くんとおそろのピンクの袋入り。

なお、当然のことながらバレンタイン当日にチョコ売り場でハートチョコを買い求めた風見くんの姿はクラスの女子に目撃され……

女子1「風見くん、風見くん! バレンタインにチョコ買ってなかった?」
風見「うん、買った。ロイにあげたんだ」
女子一同「えーっ」
風見「俺ももらったから、お返し。君らもよくやってるだろ? 友達同士で」

女子一同「(それ絶対友チョコ違うと思う……)」

風見「よーこ先生にもあげてるじゃないか」

女子1「あれは……何って言うか……餌付け?」

(ヨーコ「おいしー、おいしー、すっごいしあわせーっ」(ぱりぱり、さくさくさく……))

女子2「食べてる姿見てるとなんか癒されるし」
女子1「お返しもよーこ先生のくれるのなら外れないしね!」
 
(ヨーコ「はい、これお返し! みんなで食べて」)
 
風見「な? やっぱり普通じゃないか!」(爽)

女子一同「(やっぱ風見くん………わかってない)」


(義理と人情のバレンタイン/了)
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