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ローゼンベルク家の食卓

★プレゼントは私

2009/02/03 19:50 短編十海
「ヒウェル」

 あと三日でクリスマスと言う日、飯が終わってからディフに呼び止められる。
 またお小言か?『用もないのに事務所に来るな』とか。『最近、オティアにひっつく時間が増えてないか』とか『少しは空気を読め』とか何とか……。
 自分としちゃあ目一杯節度ある態度をとってるつもりなんだが、やっぱ『まま』の目から見ればいろいろ突っ込みたいこともあるのかもしれん。

 やれやれ、素直に聞くのも友情のうちだ、お聞きしましょうかね……。

「ちょっと知恵を貸してほしいんだが。いいか?」
「何だ?」

 意表をつかれる。しかも、こいつ、ほんのり頬を赤らめてそわそわしてるじゃねえか。

「いや、レオンへの誕生日のプレゼント、何を贈ろうかと思ってさ。何か欲しいものあるかって聞いてもいっつも料理のリクエストしかしないし」
「あー、そりゃ、まあ、ねえ……」

 なんだ。そう言うことか。
 親友時代からずっと同じことしてるから癖になっちゃってるんだろうなあ。一言『君』とか気軽に言えるような間柄じゃなかったし。

「今年は、ほら。結婚してから最初の誕生日だろ?」
「ちょっとは特別なことしたいって? いいねえ新婚さんは……あ、そうだ、ちょい耳かせよ」
「何だ?」
「まずリボンを用意してだね」
「うん」
「あいつの好きそうな花もあったほうがいいかな……それで、お前さんがリボンくるくるまきつけて……お花も添えて……プレゼントはわ、た、しって」
 
 090108_0014~01.JPG ※月梨さん画「ぷれぜんとは…」

「阿呆か、お前は!」

 あ、あ、何、その冷めた目は。

「まてまて、まだあるぞ」
「まだあるのか」
「定番のカウボーイのコスプレってのはどうだ? ほら、居間に飾ってあるテンガロンハット被って、プレイメイト風に」
 
 090107_0056~01.JPG ※月梨さん画「カウボーイ」

「お前……やっぱり阿呆だろ」

 うーわー、今度は三白眼で睨みつけてきたよ。

「お前に聞いた俺がバカだった」
「いいアイディアだと思うんだけどなあ?」
「ヒウェル?」

 この上もなくにこやかにほほ笑むと、ディフはべきっと指を鳴らした。ネイビーブルーのセーターの下で、二の腕の筋肉が盛り上がるのがはっきりわかった。

「……ごめんなさい、もう言いません」


(でも思い切って首にリボン巻くぐらいはやっちゃうかもしれない)

(プレゼントは私/了)
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