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ローゼンベルク家の食卓

【3-1-1】★ちょっとしたおまけ

2008/03/16 4:22 三話十海
「え?」

 入院中の『ママ』は目を丸くした。

「みんなで料理してるって……ヒウェルも?」
「ああ」
「信じらんねぇ……ゆで卵の殻剥くのもめんどくさがってる奴が」
「しばらくレンジミールとシリアルでしのいでただろう? そうしたら、子供にそればっかりじゃ駄目だって言われて」
「それあいつが言ったのか?」
「ああ」

 ぱちくりとまばたきして。軽く拳を握って口元に当て、今聞いたばかりの事実を反すうする。

「三食テイクアウトで三ヶ月過ごしてたくせに……」
「それにあの子達も案外料理はできるね。前にもやってたんだろうな」
「……ふうん……台所に…立つようになったんだ」

 頬が緩む。何だか胸の奥がくすぐったい。ああ……そうか。嬉しいんだ、俺。

(おやおや、何て可愛い顔で笑ってるのかな、この子は)
 
「俺は手伝えないからどうも申し訳なくて」
「いいんじゃないか? それぞれ適材適所ってもんがあるし。それにな、レオン。お前が怪我でもしたらと思うと気が気じゃない」
「そこまで不器用じゃないぞ……」
「どうだか?」

 ディフはレオンの手をとると軽く唇を押し当て、にまっと笑った。

(拗ねたような顔してやがる。まったくお前ってばつくづく可愛いよ)


(ちょっとしたおまけ/了)

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